◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/07/06(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週の日本市場も堅調な1週間となった。日経平均は週間ベースで大幅続伸と
なり、これで3週連続の上昇だ。」

M「ああ。今週は先週までの上昇の反動も警戒されたが、急ピッチな上昇懸念とは
裏腹に更に上昇してきた。新たな四半期相場入りしたことで、買いに動いた機関投
資家もいたようだ。」

T「というより売りがそれほど出てこなかった印象だ。商いはそれほど伸びておら
先物主導で上げた面も結構ある感じだし、それでもしっかり上げられたというこ
とは、やはり売り圧力がそれほど強くないことを表している。」

M「そうだな。先月までの下落で売りも一巡しているようだし、名実共に新四半期
したこともあり、慌てて売り向かう機関投資家も乏しい様子だ。」

T「それに、やはり今週は円安が株高に効いているだろう。円安へと更に戻してき
たことで、売り急ぐ向きが乏しいことに繋がっている面もありそうだ。」

M「当然あるだろうな。ドル円は1ドル100円も超えてきており、円安基調が継続し
ている格好だ。1日に発表された日銀短観によれば、輸出企業の今期想定為替レート
は1ドル91.2円だった。それだけに業績上ブレ余地拡大が一段と意識された。」

T「前回調査では1ドル85円程度だったからな。前回から6円程度も円安へと想定為
替レートが引き上げられている。しかも現状の為替は更に円安だけに、以前保守的
といえる状況だ。」

M「それにより業績拡大が改めて意識されたといえ、輸出株には追い風になり日本
株の押し上げ要因になっている。」

T「今月下旬から企業決算発表シーズンが始まるが、日銀短観で示した想定為替レ
ートに修正するだけでも上方修正に繋がる期待があるからな。」

M「ああ。しかも更に円安へと進んでいくという期待が強いだけに、上方修正して
も、なお上ブレ余地がある事になる。」

T「円安進行は、強い米経済指標がドル買い要因となっている。1日に発表された米
6月ISM製造業景況指数は景気の分かれ目とされる50を2ヶ月ぶりに回復し、市場予測
よりも良かったし、3日発表のADP雇用統計も強かった。」

M「シメが昨晩の米雇用統計だな。今週1ドル100円越え水準では円買い圧力の強さ
も見られていたが、昨晩発表された米雇用統計で更に円安へと振れてきた。」

T「ああ。雇用統計発表前は1ドル100円を挟んでの推移だったが、強い雇用統計を
うけ勝負あったという感じだな。ドルロングの圧勝だ。」

M「米6月雇用統計は、非農業部門雇用者数が19万5000人増となり、市場予測の16万
5000人増を大きく上回った。ただ失業率は前回横ばいの7.6%となった。」

T「しかも4月5月分の雇用者数がいずれも上方修正されたからな。」

M「ああ。これをうけドル円は1ドル101円台まで円安が進んだ。」

T「でも米国株は不安定だったな。この強い雇用統計をうけ買い先行で始まったん
だが、買い一巡後は売り込まれる動きになっている。」

M「強すぎる米雇用統計で量的緩和縮小懸念が一段と意識されたんだろう。米長期
金利は急上昇しており、それが景気の重しに繋がるとの懸念も意識された。」

T「まあ、強い雇用統計になれば、そういった懸念が意識されるのも想定されては
いたが・・・。」

M「でも最終的には戻しているからな。ダウは100ドル超の上昇から一時マイナスに
転じたものの、その後は徐々に買い戻されて終わってみればダウは150ドル近くの大
幅高で、この日の高値圏で引けている。」

T「ああ。量的緩和縮小懸念より、景気拡大期待が勝った格好だ。」

M「失業率が大きく改善しなかったことも量的緩和縮小懸念へのブレーキになって
いる面もある。市場予測では7.5%が想定されていたが、7.6%だったからな。」

T「ただ、この雇用統計をうけ、量的緩和縮小開始時期の予想を前倒しするエコノ
ミストも出てきているようだし、こりゃ本当に9月FOMC量的緩和縮小が決定される
恐れもありそうだな。」

M「そうだな。今後はそれを織り込みに行くことになるだろう。既に織り込み始め
ているとはいえるが、9月FOMCでの量的緩和縮小決定は、完全には織り込まれていな
い。」

T「だろうな。ただ、まだ日柄もあるし、それまでに織り込んでしまえば市場のシ
ョックも乏しいだろうからな。」

M「ああ。いずれにしろ米長期金利の動向には注意だろう。上昇基調更に強めてく
るようだと、米景気拡大期待に水を差すことになるからな。」

T「今後は、景気拡大期待と量的緩和縮小懸念が意識されながら米国株は動いてい
くと思われるが、結構不安定さは続きそうだな。」

M「量的緩和縮小懸念へ意識が向けば米国株には重しとなるし、景気拡大期待に意
識が向けば米国株には追い風となる。恐らくそれを今後は繰り返して行くことにな
るんだろう。」

T「そうやって織り込んで行くんだろうな。」

M「ああ。それだけに、米国株はところどころで波乱的な場面が出てくる恐れはあ
りそうだ。それに、ここに来て欧州懸念が再び意識されたり、エジプトの情勢懸念
も重しとなる場面もあっただけに、それらにも注意が必要だ。」

T「日本市場は円安が支えになりそうで、このまま上値追い続けられるか注目だな
参院選公示され本格的に選挙モードになってくるだけに、期待買いが続くようだ
と良いけどな。」

M「そうだな。それに来週は2、8月期企業の決算発表も多い。それだけに企業決算
へも意識が向かいやすいだろう。」

T「更にオプションSQだ。今週の先物主導での上昇など見ると、SQ値高くしたい向
きが多い感じもするけどな。」

M「いずれにしろSQ睨んだ先物売買が来週はもっと活発になるかもな。まあ波乱無
く通過してくれれば良いのだが・・・。」

T「SQ前日にファーストリテイリングの決算発表控えているっていうのもイヤな感
じだ。」

M「日経平均寄与度がえらい大きな企業だけに、ファーストリテイリングの決算が
少なからずSQ値に影響与える可能性もあるからな。」

T「とにかく来週も、しっかりとした相場が続けられるのか注目したい。期待した
いモンだ。」