◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/11/02(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も不安定な展開となった。」

M「ああ。先週はイヤな終わり方となったものの、今週はしっかりと反発したんだ
が、週末へかけ再び売られて終えている。」

T「先週と似たような動きだな。言ってみればレンジ相場という感じだが、非常に
不安定な相場だと言えるだろう。」

M「この時期は結構不安定になりやすということもある。企業決算発表も多いし、
何よりも投資家都合で売買される事も多い。」

T「投資家都合?」

M「ああ。つまりポジション入れ替えや整理の動きを行う向きが多いと言うことだ
。それによって、売られる理由もなく売られたり、買われる理由もなく買われたり
、そう言った動きが目立ってくる。」

T「なるほど。確かにそう言った動きも見られている。」

M「市場では何とか理由を探すが、結局は需給だからな。基本的には海外市場や為
替、それに個別の材料などで需給は変化するが、そう言った理由以外でも需給が変
化することもある。」

T「それがいわゆる投資家都合ってやつか・・。」

M「ああ。例えばヘッジファンドなどは、11月に決算期を迎えるところも多く、ポ
ジションを大きく弄ってくる事も多くなる時期だ。」

T「つまり益出しなどでポジションクローズしてくることも多いわけだな。」

M「ああ。買っているものつまりロングポジションは手仕舞いしてくるし、売って
いるものつまりショートポジションは買い戻してくる。」

T「そう言った動きが外部要因や材料など関係なく行われることも多いって訳だな
。」

M「そういう動きが増えてくる時期であり、自然と相場も不安定になりやすいと言
えるだろう。」

T「そういった動きは日本だけでなく海外市場などでも出ている感じだな。」

M「ああ。為替市場などでも見られている。例えば円高要因となる材料が出ても、
逆の動きとなったりな。」

T「ある意味、動きが読みにくくなりやすいってことだな。それだけ難しい相場だ
と言えるのかも知れない。」

M「そうだな。それに今は、そう言った投資家都合に加え、米国の量的緩和縮小時
期を巡る思惑も非常に不安定な状況だ。」

T「そのようだな。今週は米国でFOMCが行われたが、政府機関一部閉鎖の影響で景
気判断下方修正されるとの見方が多かったものの、前回のほぼ変わらない内容の声
明文だった。」

M「ああ。今回の声明文では、政府機関一部閉鎖の影響に振れておらず、FRBはさほ
ど景気先行きに懸念していないという感じだ。もちろん楽観視はしていないが、前
回のFOMCで示した見解から殆ど変わっていない。」

T「それに一部の経済指標には随分と強いものも出てきている。」

M「ああ。先週までは弱い経済指標が相次いでいたが、今週発表されたシカゴPMIや
ISM製造業景況感指数は想定外の強さとなっている。」

T「それらから判断すると、製造業はそれほど政府機関一部閉鎖の影響を受けてい
ない印象だ。」

M「昨日発表されたISM製造業景況感指数は想定外の上昇となった。56.4と前回56.2
から上昇している。」

T「市場予測は55.0と前回から低下する見込みだったからな。それによりドルが買
われて円安進行し、日経先物もナイトセッションで上昇している。」

M「強い経済指標をうけ、量的緩和縮小時期が思ったほど先にならないのではと言
う見方に繋がった。先週までは早くても来年3月という見方が多かったが、今週の
FOMCやシカゴPMIやISM製造業景況感指数をうけ、もしかして年内縮小の可能性もあ
るのではという見方も浮上してきている。」

T「でも、昨日の米国市場はしっかりだったな。ISM製造業景況感指数が発表された
後は、売られてマイナスに転じる場面も見られていたが、下値も限定的だったし引
けにかけては再び上昇しプラスで終えた。」

M「まあ、確かに強い数字となったが、内訳を見ると雇用指数は低下しているから
な。FRBが金融政策の判断にもっとも重要視しているのが雇用だ。それだけに強い経
済指標目立ってきても、雇用関連の指標が弱い内は、なかなか量的緩和縮小には踏
み切らない可能性が高い。」

T「なるほど。それだけに来週発表される雇用統計はかなり重要になりそうだ。」

M「そうだな。その雇用統計は政府機関一部閉鎖の影響を受けるのは必至であり、
かなり弱い数字が想定されている。政府部門の雇用状況が足を引っ張るからな。」

T「ああ。」

M「ただ民間部門の雇用者数が想定以上に増加し、想定外の強い雇用統計となった
ら、一気に量的緩和縮小懸念が強まることになるだろうな。」

T「量的緩和政策長期化期待で、強い相場を続けてきた米国株には重しになるわけ
だな。」

M「ああ。ただ為替は円安へ向かうことが想定され、日本株には追い風となる期待
はある。まあ、米国株が波乱的に下落してしまえば、流石に日本株にも重しになる
が・・・。」

T「今回の中間決算で、多くの製造業企業が下期の想定為替レートを円安方向へ見
直してきている。中には1ドル97円まで引き上げる企業もいる。」

M「ああ。今の為替水準とさほど変わらない想定にしてきているともいえ、今後の
為替動向は企業業績に大きく影響を与えることになる。」

T「円高へと進行していくようだと、中には想定より円高になり、計画下ブレ要因
になる。」

M「逆に円安へと進行すれば上ブレ要因になる。それだけに為替が今後どっちへ向
かっていくかは、非常に重要となるだろう。」

T「円安へ向かうとの見方が強まれば、日本の輸出株を買う理由にも繋がるが、逆
円高へ向かうとの見方が強まれば、輸出株は買いにくくなる。」

M「その鍵を握るのが米国の量的緩和縮小時期だ。」

T「ここに来てユーロに追加緩和の思惑が浮上してきているのも気になるな。」

M「ああ。先日発表されたユーロ圏CPIは大きく低下し、サプライズとなった。それ
によりユーロ売りが強まってきており、来週のECB定例理事会の注目度が一気に高ま
った。」

T「来週の理事会では追加緩和に踏み切るという可能性は低いものの、早期追加緩
和を示唆する可能性はあるからな。そうなれば一段とユーロ売りに繋がり、円高
因になりかねない。」

M「まあ、ドルが買われてドル円は円安へと振れる分にはまだ良いが・・。ただ米
国の量的緩和縮小時期も非常に不透明になっているからな。」

T「やはり来週の米雇用統計が大きなポイントになりそうだ。」

M「ああ、注目だな。来週は日本市場で空売り規制が緩和される事もあり、決算発
表や、米国の量的緩和縮小時期を巡る思惑で結構荒い展開になりそうだ。」

T「そうだな。決算プレイと言われる短期資金による売買がより活発になりそうだ
。」

M「想定外の下方修正など発表した企業などはかなり警戒される。規制緩和で空売
りしやすくなるだけに、オーバーシュート気味に売られる懸念もある。」

T「個人投資家でも今までは50単位超の空売りに関してはアップティックルールが
適用されていた。100株単位の銘柄だと5000株超でアップティックルール適用で、
結構空売りしにくい銘柄も少なくなかった。」

M「ああ。個人投資家といえど、短期資金には、かなり大口で活発に売買行う人も
非常に多い。今年から信用取引の回転売買がしやすくなっていることも影響してい
る。」

T「来週からは、その規制が基本的無くなる。正確には当日の下落率が10%までは、
50単位超でも時価より安い指し値で空売り出来るようになる。」

M「それだけに、まとまった株数でも時価より低い指し値で空売り出来るようにな
り、それだけ下落もしやすくなる。」

T「下落のスピードも速まりそうだな。」

M「そうだな。ただ空売りは結局は買い戻すからな。短期資金による空売りなどは
、その日の内に買い戻す向きも多い。それだけにオーバーシュート気味に売られれ
ば、反動的に戻すという動きも想定される。」

T「それだけ場中の値動きが荒くなるって訳だな。」

M「デイトレーダーなどはある意味チャンスが増えることになるが、動きが大きく
なる分、リスクも高まることにもなる。」

T「そう言った点も踏まえて、来週の相場がどういう展開になるのか注目だな。」

M「ああ。短期資金による売買が増えて、活発になるのは良いことだが、短期資金
以外の投資家が振り回される恐れもあるだけに注意は必要だろう。」

T「とりあえず、来週の相場、しっかりとした展開になって欲しいモンだ。期待し
たい。」