◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/02/01(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も波乱相場となってしまった。」

M「ああ。相場が崩れはめると速いモンだな。今月20日過ぎまでは相場に粘りも見
られていたんだが・・・。」

T「23日に発表された中国HSBC製造業PMI速報値が半年ぶりに景気分かれ目である
50を下回ったことを機に、売り圧力が一段と強まった。」

M「まあ、それはきっかけに過ぎないだろうけどな。それにより新興国からの資金
流出が一段と強まった。それまでも脆弱な新興国からの資金流出は続いていたんだ
が・・・。」

T「それが顕著に強まった為、リスクとして市場が意識してきたんだろう。」

M「根本的な要因は、やはり米国のテーパリングだ。去年5月にバーナンキFRB議長
が、いや元議長が、テーパリングを示唆してから新興国からの資金流出が始まって
いる。」

T「12月には実際にテーパリングを開始しており、その悪影響がいよいよ本格的に
顕著化してきたという感じだろう。」

M「ああ。今週のFOMCでは、想定通りFRBは追加縮小を決定した。これが改めて嫌気
されている。」」

T「何故かFOMC目前に、日本株は派手に上昇しており、既に追加縮小は織り込み済
みとの見方もあったんだが・・・。」

M「単なるリバウンドに過ぎなかった。まあ、その日は日経リンク債設定に絡んだ
まとまった先物買いが入ったことも影響しているんだが・・・。」

T「それにFOMC後の動きが読みにくかっただけに、買い戻しの動きも入った可能性
もありそうだ。」

M「そうだな。しかしFOMC声明をうけ米国株が一段と売られたことで、翌日には前
日の上げ分を殆ど吐き出している。」

T「想定通りの追加縮小だったんだが、声明文で新興国通貨安に関して言及しなか
ったことが嫌気されたと言う見方が多いようだな。」

M「ああ。ただ後付的な理由だろう。逆に新興国通貨安に言及すれば、つまり新興
国通貨安にFRBが懸念を示せば、余計警戒も高まった恐れもあるだろう。」

T「確かに・・・。FRBが言及すれば、新興国問題が米経済にも悪影響を及ぼすとい
う懸念が一段と意識された恐れはある。」

M「結局、FOMC関係なくリスク回避の動きが続いていると言うことだ。積み上げた
ポジションを解消する動きとなって来た以上、それが一巡するのを待つほか無い。」

T「現状では新興国問題が日本経済や米国経済に悪影響を及ぼしている訳でもない
からな。あくまでも、今後悪影響が出てくるのではと言う懸念だ。」

M「ああ。確かに中国経済の行方は懸念だが、アルゼンチンやトルコなどの経済が
悪化しても、それほど先進国へ大きな悪影響が出てくるとは考えにくい。」

T「ただそれが東南アジアやインドへ波及すれば、中国経済にも波及する恐れがあ
り、それが先進国経済へと伝染していくという恐れはあるが・・。」

M「確かにそういったシナリオが無いわけでもない。」

T「また、アルゼンチンやトルコが景気悪化で財政が破綻しデフォルトに陥れば、
それがスペインの財政悪化にも繋がり、欧州財政問題が復活すると言う懸念を示す
向きもいる。」

M「それらは最悪のシナリオでありいわゆるテールリスクというものだ。つまり非
常に可能性は低いものの、もしそうなったら大変なことになるというものだ。」

T「それを懸念して米国株や日本株も売られている状況なのか・・。」

M「そりゃ大袈裟だろう。本当にそうなると思っている向きは恐らく非常に少ない
。今は投資家心理が悪化してきているだけに、過度な懸念を抱きやすいのも仕方な
いんだが・・・。」

T「そうだよな。」

M「日本株も米国株も昨年までは非常に好調だった。買いポジションを積み上げて
いたヘッジファンドも多いだろう。積み上げすぎたポジションを今減らしてきてい
る状況だ。」

T「まあ、本当に最悪のシナリオを想定しているなら、買いポジションは全て解消
してくるだろうし、売られ方もこんなもんじゃないだろうからな。」

M「ああ。リスク回避の動きというのは伝染しやすいからな。大丈夫だと思ってい
ても、周りが取りあえずリスク回避してくれば、自分もリスク回避しておこうと思
いやすい。」

T「まあ、機関投資家なども相場がある程度下げてくればリスクヘッジ先物売っ
たりする向きも出てくるだろうし、個人投資家の投げだって出てきて需給が悪化し
やすい。」

M「それにより過度に売られてしまったりするモンだ。」

T「まあ、今は取りあえず相場というか投機家達が落ち着くのを待つしかないのか
もな。」

M「昨晩の米国市場も売られたが、下げ幅は波乱と言うほどではない。まあ一時ダ
ウは230ドル超の下落となったが、下げ幅は縮小して引けている。」

T「でも日経先物は随分と弱いな。シカゴ日経先物円建ては14610円で終わっている
。」

M「夜間取引では日経先物14580円まであったからな。まあ、日経先物の買いポジシ
ョン積み上げていたヘッジファンドも多いだけに、その解消の動きが続いているん
だろう。」

T「過度に売られれば、いずれは戻す。来週には落ち着いて欲しいモノだが・・・
。」

M「そうだな。怖いのは現状で新たな懸念が浮上してくることだ。」

T「確かに・・。とにかく来週どういう展開になるのか注目したい。しっかりと底
打ち感見せて欲しいけどな。期待したいモンだ。」