◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/02/08(土)発行

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================

T「名実共に2月相場入りとなった今週の日本市場は波乱となった。」

M「まあ先月から波乱含みの展開だったものの、それが加速した格好だな。さすが
荒れると言われる二日新甫、もとい三日新甫だな。」

T「週明け早々、日経平均は2営業日で1000円近くも下げており、投げが加速した格
好だ。」

M「中国の景気減速懸念が強まったことを機に、新興国通貨安問題へと波及し、更
にタイミング悪いことに米国経済先行き懸念まで強まったことが大きい。」

T「そうだな。2/4に発表された1月のISM製造業景況指数は驚きだった。」

M「市場予測56.0にも関わらず出された数字は51.3だった。前回56.5から5.2ポイン
トも低下したことになる。」

T「これほど一気に低下するのも珍しい。まあ、一部地域の寒波の影響があったと
の見方もあるが、投資家心理悪化している状況だっただけにストレートに嫌気され
た。」

M「そうだな。50が景気の分かれ目とされている経済指標だけに、50が射程圏まで
一気に低下したのはショッキングだったと言えるだろう。」

T「ああ。内訳を見ると、新規受注が前月の64.4から51.2まで急速に減速した。雇
用指数も前月の55.8から52.3まで低下しており、雇用統計への警戒も高まったと言
えるだろう。」

M「だろうな。週末には雇用統計を控えていたし、前回の雇用統計がえらいショッ
キングな数字となっただけに、警戒強まるのも無理はない。」

T「それにより日経平均は14000円割れとなる場面も見られたからな。まあ週末には
買い戻しの動きや、中長期資金と思われる押し目買いが入ったお陰で、ある程度は
戻せたが・・。」

M「ただ先週の投資主体別売買動向には驚いた。ほぼ海外勢の一手売りであり、そ
の売越額もハンパ無い。」

T「希に見る売越額だ。1週間だけで現物で7400億円、先物も売り越しており、225
先物TOPIX先物のラージミニ合わせると約3800億円の売り越しだった。現物、先物
合わせれば1兆1200億円だ。」

M「今年だけで現物、先物全て合わせると既に海外勢は2兆5000億円近くも売り越し
たことになる。まあ去年12月だけで2兆2000億円以上買い越していたけどな。」

T「去年、海外勢が買い越した額を考えれば、この程度売ってきても不思議はない
というレベルだが、短期間でこれだけ急速に売り越すのも珍しい。」

M「それだけに先行きは懸念だ。」

T「逆に個人投資家は今年に入って買いまくっており、先週だけでも6200億円程度
買い越している。今年に入って既に個人投資家の買越額は1兆4000億円を超えている
。」

M「先週って日経平均はまだ15000円付近だった水準だからな。今週も海外勢は売り
個人投資家は買いという構図だと思うが、普通に考えれば日経平均15000円以上は
重いと言えるだろう。」

T「だよな。これだけ派手に海外勢が売り越して、株価が大きく下げてきただけに
、スピード調整で、すぐに戻していくとは考えにくい。戻すにしても時間かかる恐
れはありそうだ。」

M「ただ日本株は割安だよな。今回の下落で、割安感が一段と高まった。まあ、今
期業績がピークで、来期以降は減益に転じてくる企業が多いというならば、今の株
価が割安だとは言えないが・・・。」

T「確かに。来期からは消費税上がるし、新興国景気も不透明だ。まあそれでも米
国や欧州経済がしっかりと拡大していくならば、日本企業も恩恵うけて業績伸ばせ
る企業も多いだろうけど・・・。」

M「結局、世界経済の先行きが分からなくなってきたことで、海外勢が手仕舞い
動いてきたという見方も出来る。」

T「まあ、米国はテーパリング開始したわけだし、それが米国景気の重しになるの
ではという懸念もあるからな。」

M「ただ米景気がしっかりしてきているからテーパリングに踏み切ったわけだから
な。再び米景気が減速してくれば、テーパリングを止める可能性もある。まあ、そ
うなったらそうなったで、また問題なんだが・・・。」

T「結局は米国経済の先行きをしっかり確認する必要があるという状況なんだろう
な。」

M「ああ。しっかりと米経済が拡大していく期待が再び強まれば、米国株も日本株
も見直し余地は出てくるため、再び買われていく事になるだろうな。」

T「それを占う上で注目されている、米雇用統計が昨日発表された。」

M「ああ。非農業部門雇用者数は11万3000人増となった。市場予測が18万人増程度
だっただけに今回も大きく下ブレた格好だ。」

T「失業率は前回6.7%から改善し6.6%となった。」

M「ただ前回と違うのは、今回は労働参加率が上昇している。つまり職探しを諦め
た人が増えたための失業率低下とは言えない。」

T「それに、やっぱり一部地域の寒波の影響もあるんだろう。それにより就業不能
となった影響が出ており、弱い数字になったという見方も出来る。」

M「そうだな。いずれにしろ昨晩の米国市場は雇用統計を嫌気する動きは限定的で
大きく上昇して終えている。雇用統計は市場予測下回ったが、米株がしっかり上昇
したのは何よりだ。」

T「ああ。結局、寒波の影響だって考えられる状況では、実態の状況が把握しにく
いということなんだろうな。やはり次回以降の雇用統計を確認しないと・・。」

M「だろうな。事前に警戒感があったことで、昨日はアク抜け的に買われたと言う
見方も出来るだろう。雇用統計というイベント通過で押し目買い意欲が強まったと
いうことだ。」

T「そうだな。前日も上昇していたが、直近では米株も結構下落してきていたから
な。雇用統計通過するまでは押し目買いも入れにくいと言う向きも多かったと思わ
れる。」

M「ああ。そう言う向きが雇用統計通過で押し目買いに動いてきたことで、昨日は
上げたという可能性もあるだろう。」

T「いずれにしろ、このまま強気ムードに戻って欲しいが、流石にそこまでの期待
は欲張りか・・・。」

M「まあ、今後の経済指標で米国経済がしっかりと拡大していることが確認できて
くれば徐々に安心感も出てくるだろう。」

T「来週にはイエレン新FRB議長の議会証言がある。米経済や今後の金融政策に関し
てどのような発言をするのか注目だな。」

M「ああ。投資家の買い意欲を強めるような発言が出てくれば良いけどな。期待し
たいモンだ。」

T「そうだな。今週まで日経平均は5週連続で下落している。来週は6週ぶりの上昇
となって欲しいモンだ。期待したい。」