◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/09/06(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週はしっかりとした展開だったといえる。先週下落していただけに今週反発
しないと投資家心理悪化が懸念されただけに、今週の上昇は良かったと言える。」

M「ああ。今週は国内要因で上げたと言えるだろう。今週、安倍首相は改造内閣
発表したが、その人事が思惑を呼んだ。」

T「内閣改造が材料になるとは思わなかったが、火曜日の朝刊でGPIF改革に積極的
な塩崎氏が厚生労働相で入閣と報じられた。これが思惑を呼んだ。」

M「ああ。厚生労働省は年金の運営管理を行っており、厚労相はそのトップだ。つ
まりGPIFの所管大臣であり、この人事でGPIF改革に一段と期待が強まった格好だ。


T「塩崎氏といえば日銀出身で経済や金融に強い。市場が期待するのも無理はない
。」

M「この報道をうけ、その日は日経平均大幅高となった。為替も一緒に動き大きく
円安へと進行している。」

T「今週は円安が株高にも大きく影響していると言えるだろう。」

M「そうだな。1ドル104円台前半から105円台まで乗せてきたからな。ただ為替が円
安になったから株高に繋がったと言うことではないけどな。」

T「株高が円安に繋がったということか?」

M「いや、正確に言えば、株高と円安が同時に起こったと言うことだ。つまり円売
日本株買いの動きが強まった。正確には円売り先物買いかな。」

T「それってアベトレードか・・・。ヘッジファンドの。」

M「ああ。昨年の派手なアベノミクス相場で散々見られていた動きだ。ヘッジファ
ンドには円売り株買いを同時に行う向きも多く、今週の動きはまさにそれだったと
言えるだろうな。」

T「再びヘッジファンドが本格的に動いてきたのか。」

M「いや今週の動き見る限り、本格的に動いてきたという感じでもないかもな。あ
の新内閣の人事報道をうけイベントドリブン的に一部のヘッジファンドが動いてき
たという感じだろう。」

T「確かにそうかもな。新内閣の人事が正式に決まったら出尽くし的に売られる動
きも見られていた。」

M「ああ。その後は円安水準維持しているといえるが、そういったアベトレードで
はなく、外部要因による影響が大きいかもな。」

T「まあ、週後半はECB理事会に米雇用統計という重要イベントがあったからな。そ
れらの影響を強く受けている格好だ。」

M「ECB理事会では現状維持が濃厚と見る向き多かったが、利下げに踏み切り、更に
来月から資産担保証券いわゆるABS購入プログラムを実施することを決めた。」

T「量的緩和じゃなかったが、それは最終手段だからな。その前に出来ることを取
りあえずやってきたと言うことか。」

M「ABS購入プログラムの詳細は次回の会合でまとめ公表するとのことだ。いずれに
しろ今回の会合では現状維持という予想が多かっただけにサプライズとなった。」

T「ドラギマジック再びなんて声が市場に流れていたが、それにより相対的にドル
買い圧力が強まり、ドル円は円安圧力が強まった感じだ。」

M「まあユーロ円は円高に進行しているが、これは仕方ないだろう。このECBの決定
をうけ欧州株は好感された。ただ米国株はいまいちだった感じだな。」

T「その日の米国株は朝方こそECBの決定を好感して買われていたが買いも続かなか
った。翌日に雇用統計発表を控えていると言うこともあるが・・・。」

M「それに加え、やはり米国と欧州の政策の方向性の違いが明らかになり、資金シ
フトの動きが出てきた可能性もある。」

T「つまり米国株から欧州株への資金シフトか・・・。」

M「本格的にそのような動きが出ている訳じゃないだろうけどな。」

T「その米国では昨晩注目の雇用統計が発表されている。今週のECB理事会程ではな
いが、やはりサプライズとなった。」

M「まあ良い意味でのサプライズじゃないともいえるが・・。」

T「非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増となった。市場予測は22~23万人だ
っただけに大きく下ブレた格好だ。」

M「それどころか、今年最低の伸びだからな。もともとブレの大きな指標だが、最
近は言うほどブレる事も少なかった。それだけに油断した向きも多いようだ。」

T「失業率は前回より低下しており予想通りだった。」

M「ただ今回の雇用統計は米国株には追い風になったようだ。最近発表される経済
指標は非常に強いモノも目立っていた。それだけに早期利上げ懸念が日に日に高ま
っていたからな。」

T「そうだな。それがドル高に繋がってきた要因でもある。」

M「この状況で雇用統計一段と強い数字が出るようなら、FRBは本格的に早期利上げ
を検討し始めるのではと言う見方も一部で出ていた。しかし結果は想定外の弱い数
字となった。」

T「これにより早期利上げ懸念がひとまず後退した格好になったんだろう。」

M「ああ。まあ、一時的な鈍化だといえ、米国経済拡大しているのは間違いないだ
ろうし、雇用情勢だって改善はしてきている。来月には今回発表分が上方修正され
ると見る向きも多い。」

T「そうだな。米経済拡大の流れには変化はないが、ひとまず強まりかけていた早
期利上げ懸念に水を差した格好だといえ、米国株にはプラスに働いたようだな。」

M「ああ。ただ今回の雇用統計をうけ、再び米国株が強く上昇続けていくという展
開は想定しにくいだろうけどな。早期利上げ懸念が完全に払拭された訳じゃないし
、あくまでもちょっと冷えたと言うだけだ。」

T「だな。しかも米株は歴史的な高値圏に位置しているわけだしな。ここから更に
上値をガンガン追っていくのは確かに難しいかもな。」

M「ああ。金融引き締め方向に向かっている米国と、金融緩和へ向かっている欧州
という構図だけに、これから徐々に欧州への資金シフトも増えてくる恐れもあるか
らな。」

T「出来れば日本も資金流入増えてくれば良いのだが・・・。」

M「日本にはGPIFネタもあるし、日銀の追加緩和の可能性だって完全に消えた訳じ
ゃないからな。ここに来て日本経済に懸念を示す要人も出てきており、再び追加緩
和ムードが強まってきてもおかしくない。」

T「そうだな。4月からの消費増税の落ち込みが想定より酷いと言う見方も増えてき
たからな。この状況で10%に再増税なんて出来るのかどうか・・・。」

M「それをするために、景気拡大に繋がる策を打ち出す期待はあるだろう。新たな
政策を打ち出す可能性もあるし、日銀にもプレッシャーかかってくる可能性もある
。」

T「そうなれば、追加緩和の思惑が確かに強まりそうだ。」

M「取りあえず来週、どういう展開になるのか注目だな。重要イベントである米雇
用統計通過で買い安心感強まれば良いが、来週末にはメジャーSQ控えているからな
。」

T「ああ。SQ絡みでヘッジファンド辺りが大きく動き見せてくる可能性もあるかも
な。どうせなら良い方向に動き魅せて欲しいところだ。期待したい。」