Luckyの物語

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僕が幼少の頃、親父が一匹の雄のシェットランドを連れてきた。
日本に数匹しかいない珍しい犬種だと言っていたのを覚えている。
今のシェルティと違ってコリー犬に近い中型犬だった。
庭に鎖で繋いで飼っていた・・
それが嫌だったのか、3年くらいたった頃、逃げ出して野犬の群れと一緒にどこかへ行ってしまった・・
初代Luckyだった。

2代目もシェルティで、やはりLuckyと名付けた。
僕に良く懐いていた。
地震で家が潰れて、飼えなくなり人の手に託された。
別れるときは、涙で視界がぼやけた記憶がある・・

3代目は、結婚してから飼ったシェルティで、やはりLuckyと名付けた。
まだ小さかった娘は、僕がしつけで叱っているときにLuckyをかばって泣いていた事を覚えている。
晩年、Luckyは腎臓病になった・・僕は動物病院で先生にどうか助けてくれるように涙目で懇願した。
近くにいたお爺さんが、「始めてなんだね・・愛するものを失うこと辛いね」
と言っていたことを覚えている。
病院の先生が、助かる見込みは無いから苦しんでいるときに処置して下さいと
渡してくれたのが安楽死用の注射キット・・
僕が自分でぼろぼろに涙を流しながら、それを使った。
庭に埋葬して、今も我が家を見守ってくれている。

喪が明ける前に、悲しさと寂しさでたまらなくなって、4代目のシェルティを買った。
再びLuckyと名付けた・・
4代目Luckyは子どもを6匹産んだ。
1匹は死産だった・・
手元に一匹残して人手に渡した。
Peachと、始めてLucky以外の名前をつけた。
Peachは成犬になってまもなく癌に冒された。
「きっと直せるから・・」という動物病院の先生言葉を信じて高額な手術に同意した。
でも、Peachは帰ってこなかった。
動物病院の檻の中で息絶えた・・
どんなに心細かった事だろう・・
せめて看取ってやりたかった・・
大の男がボロボロと泣いた・・

そして、その親の4代目Luckyもやがて癌に冒された。
もう病院へつれて行かなかった。
ハァハァと苦しむLuckyをそっと膝の上に載せて抱いた。
そしていつものように撫でてあげたら、息づかいが普通に戻った。
ホッとしたのか・・
でもそれはは一瞬だった。
大きく二三度深呼吸して・・逝ってしまった。
僕の膝の上で息を引き取った。
溢れる涙で膝を濡らした・・

そして、今は里子の「ひかり」がいる。
シェルティ5代目である。
どうせ飼うならかわいそうな里子にしようと、ネットで探した。
飼い主の茨城のお婆ちゃんが長期入院するので里子でもらった・・
お婆ちゃんは、しばらくして亡くなった。
お婆ちゃんのためにも、ひかりには長生きして欲しい。
犬を飼うと言うことは、その死を受け入れなければならない時が来ると言うこと・・
でも、犬は人間の最高の友..愛犬家はみなそれを知っている。