◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2015/12/19(土)発行

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================
T「今週の日本市場は荒い展開となった。」

M「ああ。今週は米FOMCに日銀金融政策決定会合と大きなイベントもあったからな
。」

T「米FOMC前には警戒から手仕舞いに動く動きも見られていた。ヘッジ的な先物
りも結構入っていたようだ。」

M「だろうな。15日には日経平均18500円台まで下落した。この日には仕掛け的な売
りも入っていたとの見方も多い。」

T「不安定な投資家心理を背景に仕掛け的に先物など売ってきた投機筋は確かに居そうだ。」

M「個別株の空売り比率も40%まで引き上がっていたからな。ただ翌日の16日には派手に反発している。米国株がFOMC前に買い戻しの動きで大きく上昇したからな。日本市場でも買い戻し余儀なくされた格好だろう。」

T「日経平均19000円も回復し、注目のFOMCを迎えた。」

M「FOMC結果は、ほぼ想定通りの内容だったと言えるだろう。政策金利であるFFレ
ートを0.25%引き上げ、来年末の金利見通しは9月に示した見通しと一緒だった。」

T「そうだな。イエレンFRB議長の会見でも、ほぼ想定されていたような内容だった
し、ある意味、波乱要因もなく無事通過したという感じだ。」

M「ああ。それを好感し米国株も上昇したし、日本株も翌日しっかりと上昇した。
日経平均19500円台まで乗せる場面もあった。」

T「FOMC前に日経平均18500円台まで突っ込んだものの、FOMC後には19500円か・・。随分と荒い動きだ。それだけ思惑も交錯していたんだろう。」

M「というか、やはりそれだけ重要なイベントだったと言うことなんだろうな。」

T「でもハイボラ相場はそれで終わらなかった。」

M「ああ。FOMCという大きなイベントが無事通過した事で、相場も落ち着いてくる
と思ったが、更なる波乱が週末に待っていたとは・・・。」

T「昨日行われた日銀金融政策決定会合では、現状維持が想定されており、波乱無
く通過する見通しだった。」

M「ああ。ところがそれが大波乱要因になってしまった。」

T「まあ、量的緩和政策に関しては現状維持なんだが、補完措置というのが発表さ
れた。これが市場に混乱を招いたようだ。」

M「ああ。その補完措置発表をうけ、先物ドル円が急騰している。ETF買取枠増加
ということで、追加緩和だと受け止めた短期筋も多いようだ。」

T「そうだろうな。やはり去年のハロウィン緩和のインパクトが強く残っているか
らな。あの時は、爆上げしており飛び乗っても十分利益が出る動きとなったからな
。」

M「それだけに、昨日も内容もあまり吟味せず取りあえず先物買いや不動産株や金
融株を買い向かった短期資金も多かったようだ。」

T「日経平均は19300円台から19800円台まで一気に急騰している。」

M「為替も急速に円安へと進行した。」

T「ただ徐々に内容が伝わり吟味されてくると、これ追加緩和じゃないじゃん。し
かも好感できる事でもないかもという見方が広がり、一転して手仕舞い売りに繋が
った。」

M「ああ。長期国債の買取対象を増やすということや、JREITの個別に設けている買
い付け上限を引き上げるということ、それに市場が一番反応したと見られている新
たに3000億円のETF買取枠設定。この3つが主な事だ。」

T「長期国債の買取対象を長期化する事やJREITの個別上限拡大は、量的緩和政策を続けて行くに辺り、いずれは必要なことだと言われていた。」

M「ああ。JREITなんて既に上限に達してしまっているREITもあったようだからな。
年間900億円買い入れる為には、どうしても必要な措置だったといえる。」

T「JREIT全体の買取枠を増やす訳ではなく、買い入れるJREITの内訳の問題だ。」

M「ンで、注目のETF3000億円枠新設だが、まず金額がしょぼいよな。従来の年間
3兆円の10%だ。その程度では市場インパクトは限られるだろう。」

T「それに余計な一言が書かれているのが、やはり嫌気されたようだ。」

M「ああ。"新たな枠によるETF買入れは、日本銀行が買入れた銀行保有株式の売却開始に伴う市場への影響を打ち消す観点から、2016年4月より開始する。"という文章だ。」

T「どうもこれを嫌気した向きも多いようだな。」

M「そうだな。日銀が過去株安状況の時に、銀行が保有する株式を買い取っていた
。それが全部で時価で3兆円程度あるようだが、この株式の売却は来年3月まで凍結が決まっていた。」

T「それを来年4月から売却してくるため、ETF3000億円新設したと言うことになる
わけだな。」

M「ああ。売却期間は従来より5年間延長しトータル10年間としているが、1年間で
3000億円ペースとなる。つまり今回、増設した金額と合致する。」

T「まあ保有する個別株を売る変わりにETF買うということで、市場全体で見れば相
殺される事になる。」

M「確かにそれはプラスだといえるけどな。ただ、これは追加緩和ではない。それ
で失望されたと見られている。」

T「それに来年3月まで凍結されている日銀保有株売却に関しては、更に凍結期間が延長されると見る向きも多かったようだな。」

M「ああ。ただ昨日の発表見る限り、凍結期間延長と言うことはなくなったと言え
るだろう。それが失望されている面も確かにあるかもな。」

T「いずれにしろ市場が期待した追加緩和でも何でもなく、失望的に売り込まれた
と言うことだな。」

M「そうだな。派手に急騰した分、その後の反動も大きくなってしまったんだろう
。」

T「需給がえらい乱れてしまったからな。ボラティリティも上がってしまった。」

M「言ってみれば、落ち着きかけていた市場に、日銀が手突っ込んでグチャグチャ
にしたようなモンだろう。」

T「確かにそうかも。補完措置など何もせず、想定通り現状維持ならば、こんな売
られていない可能性もありそうだ。」

M「解せないのが何故、今回の会合で来年4月からのETF3000億円新設を決めたのかだよな。来年3月の会合で決めれば良かった事じゃないのか。」

T「確かに・・・。」

M「結局、これが好感されるのではという見方が日銀にはあったのかも知れない。
つまり年末株高を演出したかったんだろう。」

T「なるほど。それはあるかもな。」

M「好感されなくても、日銀の動く姿勢を示したかったのかもな。いずれにしろ波
乱的に売られるとは日銀にとって想定外だったと思われる。」

T「日銀の影響で、落ち着きかけていたハイボラティリティも一段と高まってしま
った恐れもある。それだけに来週もまだ波乱含みか・・。」

M「昨晩の米国株も波乱的に下落しているしな。まあクリスマス休暇入りする向き
も増えてくることから、徐々に落ち着いては来ると思うが・・・。」

T「怖いのがクリスマス休暇で閑散相場となっていることを良いことに、仕掛けて
くる投機筋が出てくることだな。」

M「とういうか、クリスマスシーズン中の参加者乏しいときに、何か起こるのが怖
いだろう。テロとかの地政学リスクなど・・。ここに来てウクライナ問題もきな臭
くなってきているし。」

T「ある意味、昨日の米国株の下落などは、そういった懸念から手仕舞いしてきた
向きも多いことが影響しているかもな。」

M「そうだな。クリスマス休暇入りする前にポジション落としておきたい向きも多
いのかもな。」

T「とにかく週明けしっかりと下げ渋り見せられるか注目したい。今年もあと7営業
日のみだ。出来れば掉尾の一振期待したいモンだな。」

M「それが起こるとしても最終週かもな。とにかく来週早々に落ち着き取り戻せる
のか注目したい。」