◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2016/08/27(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は膠着相場だったといえる。日経平均は週末にこそ垂れてしまったが、そ
れまでは16500円前後での揉み合いだった。」

M「ああ。参加者乏しく商いも低調だった。昨日こそ、リバランスの影響もあって
東証1部の売買代金は2兆円越えたものの、木曜日までは2兆円に全く届かず大きく
下回っている。」

T「完全な夏枯れ相場だったと言える。まあ週末にはイエレンFRB議長講演を控えて
いたこともあり動きにくいという面もあったんだろうけどな。」

M「そうだな。その注目されたイエレンFRB議長講演がジャクソンホールで昨夜行わ
れた。」

T「ほぼ想定されていた感じだろうな。明確な利上げ時期は示されずも、利上げの
条件は整いつつあるという見方を示した。」

M「ああ。今後の経済指標次第では利上げに踏み切れるという感じだ。ただ利上げ
ペースは緩やかになるとの姿勢は変えていない。」

T「これをうけ米国株は買いで反応した。やや乱高下も見せたものの、ダウなどは
上げ幅拡大となっている。」

M「そうだな。為替市場ではドルが買われる動きとなり、ドル円は円安へと振れて
いった。」

T「そこまでタカ派的な発言はなかったといえるが、結構ドル売り円買いポジショ
ンも積み上がっているからな。」

M「ああ。イエレンFRB議長講演を機にドル売り円買いしていた向きがドルを買い戻
しに動いたんだろう。」

T「それに加えてフィッシャーFRB副議長の発言だ。メディアのインタビューで、随
分とタカ派的な発言が伝わった。」

M「そうだな。年内2回の利上げの可能性もあるようなことを話し、9月の利上げの
可能性も示唆している。」

T「この発言が報じられると、ドルは更に買われ円安へ進行した。たださすがに米
国市場では嫌気されたようで、米株は売られる動きに転じている。」

M「ダウなど主要株価指数はマイナスに転じてしまい、ナスダック指数は戻して小
幅高で引けたが、ダウ、S&P500指数はマイナスで引けた。」

T「まあ米国株の重しになるのは仕方ないだろうな。フィッシャーFRB副議長の発言
では・・・。」

M「ただ、あくまでも9月の利上げの可能性もあると言うことを示しただけで、実際
にはまだ9月利上げを想定している向きは乏しいだろう。」

T「だろうな。でも最近は複数の要人からタカ派的な発言も目立ちはじめている。」

M「そうだな。確かに利上げの時期は徐々に近づきあると言えるのかもな。ただま
だまだ流動的であり、不透明感も強い。」

T「だよな。ただ為替が円安へ大きく振れたことは日本株には追い風だろう。最近
は1ドル100円付近で膠着しており、まるで100円を大きく割り込んでいくタイミング
を伺っているような感じだった。」

M「だろうな。ドル売りとなる何か材料が出てくれば、いつでも行くぞという感じ
だった。ただ昨日のイエレンFRB議長講演やフィッシャーFRB副議長の発言で、大き
く円安へ戻してきたのは確かに安心感に繋がるだろう。」

T「これで米国株が派手に暴落でもしてしまえば、円安効果も半減してしまうが、
昨日くらいの下落であれば日本株には円安効果で追い風となる。」

M「夜間の日経先物終値は16590円だ。シカゴ日経先物も同じだ。それだけに週明けは取りあえず大きく反発して始まることになるだろう。」

T「ただそのまま日本株が上昇していくような展開はやはり考えにくい。」

M「ああ。恐らく円安だってここから更に進む期待は乏しい。何しろ来週は米経済
指標が目白押しだ。」

T「結局、米国がいつ利上げするかは、それら次第とも言えるだろうからな。」

M「正確には9月の利上げがあるのかどうか、来週の経済指標が大きく左右するだろう。」

T「特に週末の米雇用統計だろうな。これが今回も市場予測を上回って、20万人越
えとなるなら、3ヶ月連続で20万人越えとなり、9月利上げの可能性が急速に高まる。」

M「ああ。そうなれば、更なる円安が期待できそうだが、米国株には微妙だろうな
。早期利上げ懸念で売られる恐れも否めない。」

T「でも米雇用統計強いと言うことは、それだけ米経済は強いと言うことだし、米
国株にも悪材料ではないだろう。」

M「もちろんそうだが、ドル安で低金利状態が米経済を押し上げていた面もあると
言えるだけに、それが剥落してくるなら米経済への先行き懸念も意識されやすい。」

T「いずれにしろ強い米雇用統計となり、米国株下げても昨日のように小幅程度に
とどまれるかどうかだろう。そうなれば日本株に追い風となる。」

M「逆に雇用統計が弱かった場合は、ドル円は再び円高懸念に晒されるだろうな。」

T「そう考えると結局、来週の雇用統計確認するまでは動きにくいということにな
る。」

M「ああ。実際に米国勢は雇用統計後のレイバーデーまでは夏休み続ける向きも多
いからな。本格的に海外勢が動き出すのはそれからだろう。」

T「となると来週もまた膠着相場か・・。」

M「だろうな。今週のように日銀ETF買いを意識した不安定な揉み合いになるかもな
。ただ来週末の米雇用統計前にも結構重要な経済指標発表もあるからな。それらで
振り回される恐れもあり得る。」

T「今週は日銀ETF買い2回入ったんだが、株価への影響は限定的だった。」

M「ああ。場中は結構動き見せていたといえるが、結局は一時的で株価を押し上げ
ていく効果は見られない。」

T「まあ当然といえば当然だけどな。株価を意図的に押し上げる事が目的ではない
からな。」

M「下支えになっているのは確かだろう。日銀ETF買いが入る入らない関係なく、
日銀ETF買いの思惑が全くなければ、日経平均は今の水準保っていないだろう。」

T「確かに・・。ドル円が1ドル100円付近の水準で、今の株価を保っているのが
ある意味不自然だ。」

M「今年2月に日経平均が15000円割れとなったとき、ドル円は1ドル110円台で、今
より1円以上も円安だった。」

T「6月の英国民投票ブレグジットが決まった時、為替は今と同水準だが、日経
平均15000円台だ。」

M「それを考えれば、日銀ETF買いの思惑で今の日本株はかなり支えられているといえるだろう。」

T「ああ。ただ逆にいえば、これで為替が更に円安へ振れても、日本株は言うほど
上げられないと言うことになるのかもな。」

M「そうだな。円安の度合いにもよるだろうけど、言うほど上げられないという恐
れはあるかもな。」

T「取りあえず来週の米経済指標だな。それで更に円安へ振れるのか、再び円高
戻してしまうのか、しっかりと見極めたい。」

M「ああ。期待したいモンだ。」