【意外に知らない福島第一】わずか数分でミリシーベルト単位の被ばく 収束作業の厳しい現実
【意外に知らない福島第一】わずか数分でミリシーベルト単位の被ばく 収束作業の厳しい現実
<原発事故>ロボット調査 容器穴開け完了(河北新報 2016年12月25日)
燃料デブリ取り出し準備スケジュール(東電資料 2016年12月22日)
穴開け作業は12日から24日までの間に9日間行われ、のべ300人以上の作業員が投入された。平均被ばく量は0.375mSv、最大被ばく量は2.18mSvだった。作業員の被ばく量については、口頭での説明にとどまる。記者会見等で質問をすればある程度の回答はあるが、積極的に情報公開をする姿勢は見られない。
格納容器内部の調査は、2015年4月に1号機で実施された。この時は、調査時の作業状況だけが説明され、事前の準備作業について情報公開はなかった。この時の準備作業でものべ数百人が投入され、被ばく量も多かった。
12月
2日=平均/0.26mSv、最大/1.20mSv、2~3人×5班、全34人
13日=平均/0.31mSv、最大 1.77mSv、2~3人×5班、全34人
16日=平均/0.44mSv、最大/1.58mSv、2~4人×10班、全35人
19日=平均/0.34mSv、最大/1.52mSv、2~4人×10班、全32人
20日=平均/0.34mSv、最大/2.18mSv、2~4人×6班、全32人
21日=平均/0.36mSv、最大/1.82mSv、2~4人×5班、全31人
22日=平均/0.43mSv、最大/1.73mSv、2~4人×6班、全32人
23日=平均/0.22mSv、最大/1.30mSv、2~4人×5班、全33人
上の表で「◯~◯人×◯班」というのは、現場で穴開け作業に携わる1グループ(班)の作業員数と、グループの数。少人数で現場に入って作業し、APDで設定した被ばく線量の上限になったら別のグループに交代する。作業は、重量約1.6トンの遮へい体の中で行った。
毎日の計画線量は3mSvで設定していた。通常、計画線量に対して実際の被ばく量は十分の1から多くても数分の1程度にとどまるような管理になっているが、今回の作業では最大で計画線量の60%を超えていることから、状況がかなり厳しかったことがわかる。
2号機PCV内部調査に向けた検討状況について(東電資料の2ページ目に記載あり 2016年8月25日)
東電は、現場の滞在時間はAPDの設定によるので長短があるので一概にはいえないと述べるにとどまっている。もっともAPDの設定値(作業時の被ばく上限)は非公開なので、作業ごとの滞在時間は不明だ。
今後、2号機の調査はロボットを投入するなどの作業時に、大きな被ばくをすることが予想される。また他の号機でも、政府が燃料デブリの取り出しを目標にしている限り、線量の高い建屋内での作業が避けられない。これらの作業には熟練工が必要だが、被ばく量が上限に達する作業員が増えれば人員確保が困難になる。