正常な細胞が“がんの元細胞”を排除する仕組みを解明 京大院チーム、ハエで実験
正常な細胞が“がんの元細胞”を排除する仕組みを解明 京大院チーム、ハエで実験
http://www.sankei.com/images/news/170120/wst1701200025-n1.jpg 体内で正常な細胞が、がんの元になる変異細胞を排除する「細胞競合」と呼ばれる仕組みをハエを使った実験で解明したと、京都大大学院生命科学研究科の井垣達吏(たつし)教授(遺伝学)の研究チームが英科学誌「ネイチャー」電子版で発表した。今回の仕組みをヒトで応用し、これまでにない新たながん治療法を開発できる可能性があるという。
チームによると、ショウジョウバエの目の上皮細胞を使って実験。正常細胞の表面タンパク質「Sas(サス)」が、がんの元になる変異細胞の表面にあるタンパク質「PTP10D」と結びつくと、変異細胞の増殖が抑えられるとともに変異細胞が死にやすくなる(細胞死する)仕組みを発見した。正常細胞でSasが有効に働かない場合、変異細胞で腫瘍(がん)を形成することも分かった。
ヒトのがんの仕組みでも「PTP10D」に類似したタンパク質ががんに抑制的に働く報告事例がある。
井垣教授は「がんを抑制する安全装置の仕組みについて、まだ教科書に載っていない基礎研究の一番大事なところを説明することができた」と話している。