やることリストの一番の問題点は“長過ぎる”

やることリストの一番の問題点は“長過ぎる”

2016年5月19日

「1-3-5ルール」で本当にやるべきことを精査


この連載では翻訳・通訳者の相磯展子がNY発Webby Awards受賞サイト99Uや英語圏サイトのライフコーチ、ビジネスパーソンなどの仕事のノウハウを紹介。30代女性が仕事で直面する悩みや課題に立ち向かうためのアイデアやヒントを発信していきます。

 
1日のタスクを整理するために多くの人が使っているのが“やることリスト”。実際やることを書き出すことはとても効果的です。やり忘れをなくすだけでなく、タスクが実現される確率が上がることは研究でも証明されています。(*)

 しかし、あなたのそのやることリスト、少々長すぎませんか? 多くの人がやることを書き出すことはやっていますが、それと同じくらい大事な「タスクの優先順位づけ」までできているでしょうか? 

 私たちがやることリストを書く時に忘れがちなのが、時間やエネルギーに限りがあるということです。そして、それが単に長時間労働や頑張りだけではカバーできないということ。

 仕事での「焦り」や「多忙感」の原因は、まさにタスクを全部やろうとするこの「欲張り精神」が原因です。Guardian誌のライターで「The Antidote: Happiness for People Who Can't Stand Positive Thinking 」の著者でもあるOliver Burkeman(オリバー・バークマン)も以下のように指摘しています。


[引用]人生が数々の妥協を要することは、もっとも明らかな事実-少なくともそうであるべきーーである。《中略》うそのように聞こえるかもしれないが、この事実を認識することで、忙しさにうちのめされることもなくなり、一生ものと言える、継続的な集中力を得られる。(*)

 私たちは常に何かを引き換えに、何か別のことを得ているのです。例えば、上司の評価を得ることの代償は「忙しさ」かもしれません。私たちは、日々こういった取引をしているのにも関わらず、すべてをやろうとすることでそれをなんとか回避できると思っているのです。
 結局、何かを選択することによって生じるデメリットを引き受けたくないがゆえに、すべてを抱え込み、自分の首を絞めることになるのです。

 こなしきれない仕事量を自分に課し、余計なストレスを生むのはもうやめましょう。そこで、現実的な目標を立てるのに役立つのが「1-3-5ルール」です。キャリアサイ「The Muse」の設立者、COOのAlex Cavoulacos(アレックス・カボウラコス)によると「1-3-5ルール」は次のようなことです。

[引用]1日に終わらせられるのは大きなタスク1つ、中くらいのタスク3つ、小さなタスク5つだと想定し、やることリストをこの9項目に制限する。《中略》何があっても1-3-5のリストに従うことで、たまたま手をつけたタスクではなく、自分が意図したタスクが達成できる。(*)

 やることが多い中で、「できるだけ多くのタスク」ではなく、「優先順位が高いタスク」を着実にこなしていくことは非常に重要です。なにより、手当たり次第にタスクをこなすよりも、ずっと効果的なアプローチです。

 また、仕事中に予定外の変更があった時、先ほどの「妥協」の考え方が重要になってきます。Cavoulacosは、以下の対応方法を紹介しています。(*)

1. 急を要する仕事が発生したら、それをリストの何かと引き換えに行う(その仕事を優先させる代わりに別の作業が遅れることを上司や同僚に伝える)。


2. 急を要するタスクが1日のうちにいくつも出てくることが事前に分かっている場合は、やることリストの欄を前持っていくつか空けておく。

3. その日の仕事時間が限られている場合(長時間が会議があるなど)は項目の数を変更する。

 それでも仕事が終わらない場合は、あなたが目標としている仕事量が多すぎる証拠。タスクを断るなど可能な範囲で自分がこなせる仕事量に調整しましょう。仕事を減らすことは勇気がいることかもしれませんが、結果的にストレス軽減、生産力アップ、そして十分能力が発揮されることを考えるとそれは十分踏み切るに値する決断です。

 ぜひ1-3-5ルールでやることリストの「デトックス」に挑戦してみてください。1日にこなす仕事量を減らすことで、より賢くスムーズに仕事ができるはずです。

文/相磯 展子