◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆2017.04.08

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================
T「今週も日本市場は軟調な展開で、これで4週連続の下落となった。」

M「ああ。今週から名実共に新年度相場入りとなったが、冴えない展開が続いてい
る。」

T「ただ弱い相場にしても不安定な動きだったと言えるだろう。日経平均は上げ下
げを繰り返しているし、場中の動きも結構不安定な日も見られている。」

M「いまいち方向性を見出せない投資家が多いのかもな。弱い相場だけに方向性と
しては下方向になっているのは確かだが、売り込みにくさもあるといった感じだ。


T「確かにそうだな。かといって積極的に上値は買えないだけに、相場は下げてき
ているんだろうけど。」

M「ただ今週結構見切り売りも出てきた印象だ。特に小型株などは派手に売られて
しまった銘柄も目立つ。」

T「このまま相場落ち着いてくれるなら買い場と言えそうだが、まだまだ不透明と
いえ押し目買いも入れにくいとの声も多い。」

M「そうだな。今週は月曜日に発表された米自動車販売台数が弱く、米国景気にピ
ーク感がささやかれたり、水曜日のFOMC議事録ではバランスシート縮小が年末にも
始まる可能性が示されたり、また米株価について数人のFOMCメンバーが割高だとの
認識を示していたことも明らかになった。」

T「そしてロシアのテロや、シリアへの米軍による攻撃といった地政学リスクも一
段と強まった。」

M「こういったこともあり、今週の下落も仕方ない印象だな。」

T「まあ見方によれば、この程度の下落で済んでいるとも言えるのかも知れない。


M「ドル円が下げ渋ったからな。1ドル110円のラインはしっかり守られており、依
然として強固だ。」

T「そうだな。その辺までは今まで何度も円高進行する場面あったんだが、振れる
ことも出来ない。」

M「ある意味、ここまで来たら一旦110円割れて、アク抜け的な感じになった方が良
いように思えるが・・・。」

T「でも、何度も崩せないだけに、ここからドルは対円で売りにくく、円も買われ
にくいという印象は強めている。それだけに、そのうち逆の動きになってくるとい
う期待もあるかも知れない。」

M「ドル下げないなら上げるしかないと・・。」

T「まあドル買い材料待ちなんだろうけどな。」

M「昨日発表された米雇用統計は想定外の雇用者数となった。市場予測を大幅に下
回る9.8万人増となっており、昨年5月以来の小幅な伸びにとどまった。」

T「ああ。市場予測は18万人増程度だっただけに、かなり下ブレた格好だ。水曜日
に発表されたADP雇用統計がえらい強い数字となっただけに、米労働省発表の雇用統
計も強くなるとの味方が多かった。」

M「ただ既に完全雇用の状況だけに、雇用者数の一時的な低下は基本的には問題は
ない。今回少なかったのは天候要因もあるようだし、増加しているんだから米雇用
情勢が悪化しているとは言えないだろう。」

T「まあそうなんだろうな。失業率は4.5%まで低下しており、約10年ぶりの低水準
となっているしな。」

M「賃金も増加しており、労働参加率も高水準だ。それだけに特段悪い雇用統計と
見る向きは居ないだろうな。」

T「少なくとも今回の雇用統計をうけて米金融政策が大きく変わるようなことには
ならないだろう。」

M「ああ。為替や株価の動きもそれを示している。雇用統計発表後はドルが売られ
円高進行したが、またしても1ドル110円付近では下げ止まったし、夜間の日経先物
も下落は一時的で限定的だった。」

T「米国株も朝方こそ売られる場面もあったが、下値も限定的だったし、そもそも
雇用統計が重しと言うよりは、シリアへの米軍による攻撃といった地政学リスクが
重しとなっていた面も強い。」

M「そうだな。その後はダウなどしっかり上昇する場面も見られている。NY連銀総
裁がバランスシート縮小に言及し、米長期金利が上昇したことで金融株が買われダ
ウを押し上げた。」

T「ハト派として知られるダドリーNY連銀総裁もバランスシート縮小は経済状況次
第では年末からはじめられる見解を示している。バランスシート縮小の際に利上げ
ストップとなる可能性も示したが、その期間は短期間になるとも示唆したことから
、ややタカ派的な発言と受け止められたようだ。」

M「おかげでドル円は1ドル111円台まで円安が進行した。まあ米国株は週末要因も
あり引けにかけ失速しマイナスで引けたものの、日経先物はプラスで夜間取引を終
えている。」

T「来週はしっかりと反発して欲しいモンだな。」

M「まあ依然として地政学リスクは燻り続けそうで重しとなりそうだけどな。今回
の米国によるシリア攻撃によって、ロシアや北朝鮮の動き次第といえそうだ。」

T「ロシアは早速米国を非難しているものの、あくまでもポーズとの見方も少なく
ない。これ以上、動き見せなければ懸念された米露の摩擦懸念も後退していきそう
だけどな。」

M「問題は北朝鮮だな。シリアと北朝鮮は友好関係にあるし、今回の米シリア攻撃
は、北朝鮮への牽制も含まれているのは間違いない。」

T「ああ。それだけに北朝鮮が挑発的な行動に出てくるようだと、近い日本市場で
地政学リスクが一段と高まりリスクオフの動きになる恐れもある。」

M「何もせず大人しくしてくれていれば良いのだが・・。」

T「来週はSQ週だけに、地政学リスクが再び強まるようだと、ここぞとばかりに投
機筋が先物売り仕掛けて来る恐れも否めない。」

M「ああ。今週同様に荒い展開になる可能性はありそうだ。」

T「出来ればこのまま地政学リスクはフェードアウトしてくれれば良いけどな。そ
うなれば、為替も円安へ振れて来る期待もあるし、日本株の見直し買いも入りやす
くなる。」

M「来週はどういう結果で週末を迎えているのか・・。期待したいモンだ。」