仕事でイラっとしたときの正しい対処法

仕事でイラっとしたときの正しい対処法

日経ウーマンオンライン

 仕事でイライラすることは多々あります。メールでのチクリと刺さる一言、表立った非難、悪気のない行動。どんなことであれ怒りの対処法は基本的には一貫しています。それは、やり返さないこと。

 仕事でイライラすることは多々あります。メールでのチクリと刺さる一言、表立った非難、悪気のない行動。どんなことであれ怒りの対処法は基本的には一貫しています。それは、やり返さないこと

 怒りに燃えているときは、これはとても魅力的な選択肢です。しかし、相手に怒りをぶつけて一番被害を受けるのは、ほかならぬ自分です。

「引用」恨みは有害で、疲れる。誰も得しない、自分もそうだ。
(Paul Jun、「How to Allow Forgiveness to Enter Into Your Stone-Cold Heart」)

 ではどうすればスマートに怒りと向き合うことができるのでしょうか。怒りの対処法を以下の四つにまとめました。

1. 怒っている時は行動しない

 相手に怒りをぶつけた後、必ず後悔が押し寄せてきます。まず怒りを覚えたらそれが収まるまで「何もしない」よう心がけましょう。
 ひとしきり怒りと向き合うことも大事なことです。怒りやイライラを無理に忘れようとしたり、すぐに発散しようとしたりするとかえって長続きしてしまいます。ここは少し我慢の時間です。ひとまず第三者になったつもりで自分の怒りを観察してみてください。紙に怒りを書き出してみてもいいかもしれません。思わず逃げたくなりますが、ここを通り抜けてしまうと自分が怒っていることが案外大したことではないことに早く気づきます。

2. 大半のことは自分ではコントロールできない

 私たちは、自分が思っている以上にいろいろなことをコントロールできません。その中には他人の行動、他人が自分をどう思っているかも含まれます。同様に、怒りを持って相手を変えようとすることは、無駄な努力です。
 変えられないことではなく、むしろ変えられることに集中しましょう。中でも重要なのは、自分の態度です。いつまでも怒っているか、状況を受け止め、次に行くかはあなた次第です。あなたの態度次第で同じ状況でもその体験はいくらでも変わり得るのです。

3. 相手の立場で物事を考えましょう

 怒っている時はとても難しいかもしれませんが、相手の立場を考えてみると状況が違って見えてきます。相手の視点に立ってみると、あなたに対する個人的な理由で行動していないことに気づくことができます。多くの場合は、相手がもとから抱えている問題(自信不足、不安、不満)をたまたま近くにいるあなたに投影しているに過ぎません。

 「私に対してこんなことができるなんて」と怒っている時に、こうした視点のシフトは効果的です。相手の行動に対して、より寛容になれるはずです。

[引用」私たちはみな、欠点だらけで、つまずきながら人生を歩み、その場その場を切り抜けている事実を考えることで、謙虚な自覚を得ることができるはずだ。その認識は、他人にもっとやさしく接すること、つまり思いやりを持って違いを受け入れ、優越感を取り除くことを促してくれる。
(Paul Jun、「How to Allow Forgiveness to Enter Into Your Stone-Cold Heart」)


4. それでもどうにもならないときは……

 相手に共感を持って接するだけでは、対処できない状況ももちろんあります。そんなときは、自分の許容範囲とも言えるバウンダリー(境界)を認識しましょう。バウンダリーは個人個人で違います。 あなたにとって何がOKで、何がNGでしょうか?

[引用]自分のバウンダリーを持つことで相手に、「私は共感、寛容な態度を持って、あなたを判断、評価する一方で、自分にも正直でいる必要がある」と言うことができる。[…] バウンダリーが侵害されるということは日常的に起こる。そんな時、相手に責任を持ってもらうためには私たち自身が立ち上がる必要がある。もちろん、とびっきりの思いやりと寛容さを持ってだが。
(Inkling TV「How to manage anger towards others」)


 1~3を経てどうしても状況が解決されない場合は、思いやりの立場から自分にとって何がダメで、何がOKかを相手に伝えましょう。共感と思いやりの姿勢を持って相手にアプローチするだけで、その後の進展はずいぶん違ってきます。何より、自分の立場を主張し、相手から共感を求めるという行為は、大きな自信にもつながります。
 怒りを感じる状況を、単なる「勝ち負け」の問題に収束させる必要はありません。それはあなたの問題ではなく、単に埃を払い、次に行くという対処が必要なことかもしれません。またそれは、相手としっかり向き合い、自分の立場を伝えるべき状況かもしれません。状況に合った、適切な判断をしましょう。
 そして、くれぐれも何も考えないまま相手に怒りをぶつけないように。大事なのは相手でなく、自分がどんな態度を取るかです。