同情と非難と…日本の〝知韓派〟外交官の受難

同情と非難と…日本の〝知韓派〟外交官の受難


 韓国経験が長かった日本の知韓派外交官の“受難”が相次いでいる。1人はこのほど釜山総領事を解任された森本康敬氏で、もう1人は2010年から2年余り、駐韓大使を務めて退官した武藤正敏氏。韓国では前者は同情され、後者は日本での“反韓本”の出版が非難されている。

 いずれも韓国語が達者ないわゆるコリアン・スクールに属し、韓国勤務が通算10年以上で筆者とも付き合いは長い。森本氏は年初に釜山総領事館前の慰安婦像設置に対する日本政府の対韓抗議で、駐韓大使とともに“一時召還”された。その際、日本での私席で政府の対韓強硬措置に不満をもらしたという話が首相官邸に伝わり、官邸の不興を買っていたという。

 解任人事はその引責とする見方が専らだが、公開発言ならともかく私席の“雑談”でクビとは厳し過ぎる。現在の外務省は次官やアジア大洋州局長など幹部には韓国経験者が多いのに、これじゃあまりに冷たい。

 武藤氏は「韓国人に生まれなくてよかった」(悟空出版)という新著のタイトルが韓国世論をいたく刺激している。対日外交など韓国批判はいいとしても「あんな言い方はないだろう」というのだ。確かに元大使としては洗練さに欠ける。長年の付き合いで自分も韓国化してしまったのかな。(黒田勝弘