床に「黒い塊」複数飛散、プルトニウムか 放射性物質制限の14倍

床に「黒い塊」複数飛散、プルトニウムか 放射性物質制限の14倍

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「大洗研究開発センター」の作業員が被ばくした事故現場。黒い点が飛散したプルトニウムとみられる(原子力機構提供)

 日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」(茨城県大洗町)の被曝事故で、機構は9日会見し、放射性物質が飛散した室内の床に、複数の黒い塊があることを明らかにした。プルトニウムやウランの酸化物の可能性があるという。また、核燃料物質が飛び散った貯蔵容器が置かれていた設備近くの床から、法令上の立ち入り制限値の約14倍となる55ベクレルの放射性物質が検出されたと発表した。

 事故直後には、室内の汚染を外に出さずに作業員を退出させるための「退出用ハウス」の設置に手間取り、5人が汚染された室内で約3時間待機していたことも判明。機構の児玉敏雄理事長は同日、文部科学省の特命チーム会合に出席後、報道陣に「手順通りだった」と強調したが、袋の破裂については「想定していなかった」と述べた。

 機構によると、事故は6日午前11時15分ごろに発生。退出用ハウスの設置が始まったのは午後1時15分で、作業員は同2時半から退出を開始した。機構は「ハウス用の部材を集めるのに時間がかかった。事前に準備はしていなかった」としている。

 また、機構の検査で肺から2万2000ベクレルのプルトニウムが検出された50代の男性について機構は9日、「実際の被曝量はもっと少ない可能性がある」と指摘した。搬送先の放射線医学総合研究所千葉市)の検査でプルトニウムが検出されなかったためで、体表面についていた放射性物質が影響した可能性があるという。