80歳以上の運転に数値目標 20年までに死者200人以下

80歳以上の運転に数値目標 20年までに死者200人以下

 政府の交通対策本部(本部長・加藤勝信内閣府特命担当相)のワーキングチームは30日、80歳以上の高齢ドライバーによる交通事故死者を2020年までに年間200人以下に減らす目標を設定した。自動ブレーキなどを搭載した「安全運転サポート車」の基準づくりのほか、ハイリスクなドライバーに対し免許の取り消しなどを判断する実車試験の導入も検討。高齢者の特性を踏まえた対策に取り組む。

 警察庁が、同サポート車に限って運転を認める「限定条件付き免許」の導入など、運転免許制度の見直しを進める方針をワーキングチームに報告した。

 国交省経済産業省などは、サポート車の普及を進めることを報告。自動ブレーキやブレーキの踏み間違い防止機能が付いた車を、高齢者向けの「安全運転サポート車」と位置付けている。だが、メーカーによって性能にばらつきがあり、国交省が安全基準の策定を検討している。

 今年3月には認知症対策を強化した改正道路交通法が施行し、警察庁は免許の取り消しなどが年間約1万5千人に上ると試算した。

 警察庁は緊急対策も報告。80歳以上の高齢ドライバーへの相談態勢を強化するほか、運転免許の自主返納を促すことや、安全運転サポート車の普及のため運転免許センターで試乗会を行うという。

 警察庁によると、海外では運転可能な時間帯を日中に限ったり、場所を自宅周辺に限ったりするなど条件付きの「限定免許」の導入例がある。
 80歳以上のドライバーによる事故死者は14~16年の平均は約270人で、12~13年の同約250人を上回る。