成年後見制度「利用しない」55%

成年後見制度「利用しない」55% 申請複雑、家族らに重荷 「認知症支援者の視点を」と有識者



 認知症の家族の金銭管理を手伝った人のうち、判断能力が不十分な人のために、後見人が財産管理などに当たる「成年後見制度」のことを知っているが、利用するつもりがない人が55・4%に上ることがみずほ情報総研の調査で分かった。利用を検討している人は22・8%、利用している人は6・4%にとどまった。

 政府は今年、制度の基本計画を策定し、周知を図っているが、一般への浸透がまだ不十分な面が明らかになった。

 同総研の担当者は「家庭裁判所への申し立てなど複雑な申請手続きが利用を妨げる背景にある。家族など支援者の視点をこれまで以上に取り入れる必要がある」としている。

 調査は昨年10月、過去3年以内に認知症の家族・親族の金銭管理を支援した40歳以上の男女2千人にインターネットで実施した。

 金銭管理を手伝うようになった理由(複数回答)は「ATMの操作・利用が難しくなった」(48・5%)、「お金の計算が難しくなった」(46・1%)、「窓口での説明の理解が難しくなった」(42・5%)などが多かった。

 具体的な支援内容(複数回答)は、「1回あたり50万円未満の預貯金の引き出し」が76・9%で最も多く、請求書などの支払い(36・6%)が続いた。