近代化を自ら放棄。反日の韓国が「漢字追放」で失ったもの

近代化を自ら放棄。反日の韓国が「漢字追放」で失ったもの

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韓国に浸透していた「漢字」を日帝の残滓だとして撤廃しようとした韓国。しかし、反日政策としての「漢字追放」は、思わぬデメリットをもたらしたようです。行き過ぎた反日思想が韓国に与えたダメージとは? 無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』の著者・伊勢雅臣さんが詳しく紹介しています。

反日」で漢字まで追放した韓国

先日、関西空港からパリへ飛び立とうとした処、手荷物検査場の入り口に、各便の出発ゲート番号を示す電光掲示板があったので、自分のフライトを再確認しようとした。ところが、その表示がハングルで、なかなか日本語に切り替わらない。「なんでハングルまで表示する必要があるんだ」と不愉快な思いをしながら待たされている時間は実に長く感じた。
ようやく日本語に表示が変わって、手荷物検査と出国処理を終えて、ゲートまで往復するシャトル便に乗ろうとすると、そこにもゲート番号を表示する電光掲示板があった。一人の男性白人客がそれを眺めながら、じっと待っている。その時の表示は中国語だった。
英語表示を見るには、最悪、日-韓-中と3倍もの時間、待たされることになる。急いでいる客だったら、いらいらして「こんな空港、二度と使ってやるものか」と思うだろう。
外国人用の案内は英語だけで良いというのが国際常識である。中国語、韓国語を入れて「おもてなし」をしているつもりだろうが、他の国々の人々にはかえって迷惑をかけている、という事に気がつくべきだ。近隣諸国を大切にというなら、台湾の正漢字、フィリピンのタガログ語ベトナム語タイ語、マレー語、インドネシア語などの表示はなぜ、しないのか。
世界には無数の言語があるから、各国民を平等に扱おうとすれば、結局、実質的な国際コミュニケーション言語である英語で表記するしかない、というのが国際社会の智恵なのである。

日本語そのままの用語

ハングルで書かれると日本人にはチンプンカンプンなのだが、もともと朝鮮半島は漢字圏だったので、漢字で書いてくれれば理解できる用語は多い
窓口(チャング)、改札口(ケーチョング)、入口(イブク)、出口(チュルグ)、乗換(ノリカエ)、踏切(フミキリ)、横断歩道(ヒンタンポド)、手荷物(ソハムル)、大型(テーヒョン)、小型(ソヒョン)、受取(スチュイ)、取扱(チュイグプ)、取消(チュイソ)、割引(ハルイン)、行方不明(ヘンバンプルミヨン)、弁当(ベントー)
何の事はない。漢字で書いてくれれば、旅行者も大抵の用は済みそうだ。しかし、なぜこんなに日本語と似た単語が使われているのか豊田有恒氏は著書『韓国が漢字を復活できない理由』で、こう述べている。
韓国の漢字熟語は、中国起源でなく、日本統治時代に日本語からもたらされたものである。明治以来、欧米の文物の摂取に熱心に取り組んだ日本は、論理、科学、新聞など多くの訳語を案出した、これらの訳語が、韓国ばかりでなく、漢字の本家の中国でも採用されていることは、よく知られている。
(『韓国が漢字を復活できない理由』豊田有恒 著/祥伝社
たとえば鉄道関連用語は、日本人が欧米の鉄道を導入する際に案出し、日本統治時代に朝鮮において鉄道が敷かれるのと同時に移入された。だから、同じ用語が使われるのは当然なのである。
多くの用語は、日本語から漢字のまま移入され韓国語の漢字の読み方で読まれた。だから、日本語の音読みに近い。窓口(チャング)は日本語の音読みなら「ソウコウ」、受取(スチュイ)は「ジュシュ」、行方不明(ヘンバルプルミヨン)は「コウホウフメイ」と、似通っている。ただ乗換(ノリカエ)、踏切(フミキリ)などは、どういうわけか、日本語の訓読みがそのまま残っている。

韓国で使われている漢字語の8割以上が日本製

豊田氏は、現在韓国で使われている漢字語の8割以上が日本製だと指摘している。特に、日本統治時代に政治、科学技術、企業経営、スポーツなどの近代化が進んだので、それらの分野の専門用語はほとんどが日本語起源である。
たとえば、科学数学の分野では
科学(カハク)、化学(ファハク)、物理(ムルリ)、引力(イルリョク)、重力(チュンニヨク)、密度(ミルド)、組成(チョソン)、体積(チェジヨク)、加速度(カソクト)、電位(チョスイ)、電動(チョンドウ)、元素(ウォンソ)、原子(ウォンジャ)、分子(プンジャ)、塩酸(ヨムサン)、算数(サンスウ)、代数(チースウ)、幾何(キハ)、微分(ミブン)、積分(チョクブン)、函数(ハムスウ)…
経営関係では
社長(サジャン)、取締役(チュィチェヤク)、専務(チョンム)、常務(サンム)、部長(ブジャン)、課長(カジャン)、係長(ケジャン)、打合(ターハブ)、手続(テージョル)、組合(チョハブ)、株式(チョシク)、売上(メーサン)、支払(チブル)、赤字(チョクチャ)
韓国は、これらのすべての用語を日本語から借用し、それで近代科学技術を学び、近代的な企業経営を始めたのである。

漢字廃止で同音異義語のオンパレード

科学技術から企業経営、交通や法律・政治まで、近代的用語がほとんど和製漢字語で取り入れられているのに、漢字を廃止してハングル表記するとどうなるか
日本語以上に韓国語は複数の漢字が同じ読みを持つから、同音異義語のオンパレードとなってしまう。
たとえば、長、葬、場はすべて「ジャング」なので、会長、会葬、会場はすべて「フェジャング」と同じ発音になる。「会長が会葬に会場に来た」は、「ヘジャングがフェジャングにヘジャングにきた」となってしまって、これでは文脈から判断するのも難しい。話し言葉ならまだしも、書き言葉でこれでは、物事を正確に伝えるには大きな障害となる。
神社も紳士も「シンサ」なので、「ヤスクニ・シンサ(靖国神社)聞いたことある?」と聞かれた若い女性が「偉人かな」と答えたそうな。「ヤスクニ紳士」と間違えたのだ。確かに日本人にとっての偉人を祀った神社ではあるのだが。

ひらがなだけの文章の読みにくさ

したがって、書き言葉から漢字を追放したら、日本語をひらがなだけで書くような事態になる。たとえば、こんな具合である。
おそんふぁさんによると、かんこくじんはせかいいち、どくしょりょうのすくないこくみんで、かんこくとうけいちょうのちょうさではへいきんどくしょりょうは5.3さつ/ねん。どくしょばなれがしてきされるにほんじんでもねんかんやく19さつ。かんじはいしがしゅよういんで、はんぐるだけでは、ひらがなだけのほんをよむようなもの。
こんな文章は、よほど忍耐強い人でなければ読み通せないだろう。しかも読むスピードは何分の一かになってしまう。
漢字交じりで書けば、上記の文章は
呉善花さんによると、韓国人は世界一読書量の少ない国民で、韓国統計庁の調査では平均読書量は5.3冊/年。読書離れが指摘される日本人でも年間約19冊。漢字廃止が主要因。ハングルだけでは平仮名だけの本を読むようなもの。
重要な言葉は漢字になっているので、漢字だけ追えば、だいたいの意味はとれる。ここが日本語の仮名漢字まじりの優れたところで、逆に中国語のように全部漢字だったら、こうはいかない。
それにしても、こんな平仮名だけの本を年5.3冊も読むのは日本人には到底できない事で、逆に韓国人の個人的能力、意思力はすごいのではないか、と考えてしまう。

漢字は「日帝の残滓」

それにしても、なぜ韓国はこんな便利な漢字利用をやめてしまったのか
漢字使用を制限したのは、戦後すぐの1948年、李承晩大統領によるハングル専用法」である。米軍占領下で日本が抵抗できないのを見透かして、勝手に李承晩ラインを引いて竹島を奪った大統領である。徹底的な反日教育を実施して、「電信柱が高いのも、ポストが赤いのも、みんな日本が悪いとされる」と揶揄されるほどであった。
「ハングル専用法」は、「大韓民国の公文書はハングルで書くものとする。ただし、当分のあいだ必要な時には漢字を使用することができる」とした。政府の公文書のみを対象にしたものであったが、それでも、「当分のあいだ必要な時には」という留保をつけているのは、漢字抜きは無理があると分かっていたからだろう。
日本統治時代は漢字・ハングル混じり文が推奨されていた。したがって漢字は「日本帝国主義」の残滓のように誤解され、排斥の対象となった。逆に、ハングルは民族のシンボルとして祭り上げられたのである。
実際に歴史をよく調べれば、それまで教養のない女子供の使う「牝文字」「わらべ文字」などと軽蔑されていたハングルを普及させたのは日本統治時代の教育だったのだから、ついでにハングルも日帝の残滓として追放すべきだった。そうなると韓民族は文字を持たない民族になってしまうのだが。

朴正煕大統領の反日ポーズとしての漢字追放

漢字排斥をさらに推し進めたのが、韓国中興の祖とされる朴正煕大統領だった。朴大統領は国民の大反対を押し切って、日韓基本条約を締結したが、日本寄りと見られることを避けるために、反日姿勢として、1970年前後に教育カリキュラムから漢字を追放した。
しかし、これは朴大統領の反日ポーズだったようで、片腕だった総参謀長の李在田が会長となって、「韓国漢字教育推進総連合」が作られ、まずお膝元の軍隊で漢字教育を復活させた。また、学界、言論界からの訴えを入れるという形で、中等教育で漢字教育を復活させた。
しかし、その後、ハングル派の巻き返しもあって、漢字教育をやったり、やらなかったり、と朝令暮改が続き、漢字教育を受けた世代と受けていない世代が斑(まだら)のようになっている。
いずれにせよ、漢字・ハングル交じり文は日帝の残滓」という反日イデオロギーだけで、漢字追放までしてしまうのだから、その激情ぶりは凄まじい。

日本語追放による「純化

反日」政策としての漢字追放は、さらに日本語起源の漢字語追放にまで進む。韓国の「国語審議会」の「国語純化文化委員会」が「日本語風生活用語純化集」を作って、700語ほどの「日本語っぽい単語を韓国語風に純化」しようとした。日本語は不純」だというわけである。
たとえば「売切(メージョル)」は、「みな売れること(ターバルリム)」、「改札口(ケーチャルグ」は「票を見せるところ(ピョ・ポイヌン・ゴッ)」、「踏切(フミキリ)」は「越えるあたり(コンノルモク)」という具合だ。日本語で言えば、漢語を大和言葉で置き換えよう、という事である。
したがって、「改札口を通って踏切を渡った」を「純化」すると、「票を見せるところを通って、越えるあたりを渡った」となる。
いくら「反日」を信条とする愛国的韓国人でも、毎日、こんなまだるっこしい会話はしていられないだろう。折りに触れて、こういう「純化」が試みられているが、不毛の努力に終わっているようである。

「漢字・仮名交じり文が、日本人の教養と民度を高めた」

韓国での「反日」を動機とした漢字廃止、和製漢語廃止を見ていると、「漢字・仮名交じり文が日本人の教養と民度を高めた」という豊田氏の主張もよく理解できる。
たとえば、英語で「Cetorogy」という単語があるが、その専門の学者でもなければ、アメリカやイギリスの一般人は知らない単語である。しかし、これを日本語で「鯨類学」というと、中高生以上なら、「鯨に関する学問」だろう、と想像がつく。「Apiculture」も同様だ。普通の米英人にはチンプンカンプンの単語だが、日本語で「養蜂業」と言えば「蜂を飼う仕事」だと推測できる。
このように、漢字の造語能力をフルに活用して、一般大衆にも近づきやすい形で、近代的な学問、政治、科学技術の体系を構築してきたのが、幕末以降の我が先人たちの努力であった。
中国や朝鮮は、その日本語を通じて近代的な学問を学んだ。たとえば、「中華人民共和国憲法」の中で、中国語のオリジナルな単語は「中華しかない。それ以外の「人民」「共和国」「憲法」は、みな日本語からの借用である。どうりで人民主権も、共和政治も、立憲政治も、いまだに身についていないはずだ。
朝鮮では、日本統治時代に漢字・ハングル交じり文が普及して、せっかく近代化のステップを踏み出したのに、「日帝の残滓」というイデオロギー的激情で、それを自ら拒否してしまった。
その千鳥足ぶりと比較すると、我が先人たちの偉大な見識と努力が、改めて見えてくるのである。それを知らずに、電光掲示板でハングルや中国語で表示することが国際化だ、などという浅慮では、ご先祖様が草葉の陰で泣いていよう。
日本語で正確かつ論理的に、そして礼儀正しく丁寧な読み書きができない日本人がいくら外国語を流暢に話しても、国際社会に通ずる人間にはなれないのである。

文責:伊勢雅臣