海底からの鉱石回収に成功、世界初-「国産」資源の開発進展に一歩
海底からの鉱石回収に成功、世界初-「国産」資源の開発進展に一歩
Source: METI
世耕弘成経産相は同日の会見で「日本近海では現在でも鉱種によっては国内の年間消費量を上回る鉱物の存在が見込まれている。今回の成功を踏まえて世界6位の排他的経済水域(EEZ)の広さを生かした国産資源の開発を進め、わが国の鉱物資源の安定供給体制のさらなる強化を主導したい」と述べた。
実験は8月中旬から9月23日まで実施した。水深1600メートルの海底から噴出する金や銀、銅、鉛、亜鉛などが沈殿して形成される海底熱水鉱床から鉱石を回収した。鉱石を海底で3センチに砕き、大型水中ポンプを使ってくみ上げ、幅10センチの管を通じて洋上の運搬船まで海水と共に引き揚げた。
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石油や天然ガスの開発では、海底から鋼管で吸い上げる際、水よりも軽い性質のため引き揚げやすい。一方、重い鉱石を海水と共に海面まで引き揚げるのは技術的に初めての取り組みだった。課題を確認しながら1回当たり数十分程度の引き揚げを16回実施、計16.4トンの鉱石を回収した。民間企業からは三菱重工業や新日鉄住金エンジニアリング、住友金属鉱山、清水建設など7社が企業連合を結成して参加。各社が得意とする技術を持ち寄った。
転用可能な技術
経産省資源エネルギー庁の大東道郎・鉱物資源課長は「今回成功したのはコバルトリッチクラストやマンガン団塊といった他の海洋鉱物資源の開発に転用できる技術。後世振り返った時に、一つのターニングポイントになるような成果だ」と語った。