希望の党、若狭氏に小池代表がテレビ出演自粛要請か

希望の党、若狭氏に小池代表がテレビ出演自粛要請か…細野氏とも対立で内部分裂の様相

希望の党、若狭氏に小池代表がテレビ出演自粛要請か…細野氏とも対立で内部分裂の様相

希望の党の小池百合子代表(左)と若狭勝氏(右)(写真:日刊現代/アフロ)


 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。
「もうテレビに出ないでください」
 希望の党小池百合子代表が、同党の若狭勝氏にそう命令したという話が出ています。若狭氏が、小池代表の出馬および政権交代について「次の次ぐらい(の衆院選)のとき」と発言したことが理由のようです。
 なぜ、わざわざ選挙を戦う方々のモチベーションを下げるような発言をするのか、さっぱりわかりません。もちろん、小池代表はこの発言を打ち消すかのように「政権交代を目指す」と明言しました。

●「希望の党、俺たちには絶望だよ!」
 すでに希望の党の内部もグチャグチャなわけですが、今回の「国難突破解散」によって、衆議院だけでなく全国で大混乱が続いています。都民ファーストの会からは離党を検討する都議会議員も出ており、これからも増えることが予想されています。
 公示は10月10日です。「まだ間に合う」と思っているのは小池代表のほか数名だけで、実際にはいろいろなものが間に合わないでしょう。3日に、ようやく第1次公認候補が発表されましたが、今後も波乱が起きそうです。
 そもそも、選挙は立候補者が決まらないとほかのことが何も決まりません。事務所の看板や街宣車の表示に党名や「○○推薦」を入れるのかどうか、ポスターはどうするのか……。どこの公認かによって、キャッチフレーズも変わってきます。

 また、希望の党にはそもそも出馬自体が危うい候補者陣営もあります。そんななか、前回の落選から約3年、地道に捲土重来を期してきた多くの陣営は「何が希望の党だよ。俺たちには絶望だよ!」と嘆いています。
 民進党から出馬予定だった候補者は本当に大変です。出馬できる環境を整えてもらえないのであれば、せめて早い時期に伝達がほしいところですが、それもありません。候補者の心情すらケアできない希望の党に、国民の未来の希望なんてありません。
 政見放送もどうなるのでしょうか。希望の党は小池代表が党の宣伝をする程度で、選挙区の候補者は紹介もしないつもりなのでしょう。

 さらに、希望の党のセコさは苦笑しかありません。候補者に500万円の寄付、つまり上納金を要求しています。また、候補者は選挙に出馬するための供託金(300万円)も負担しなければなりません。これは公示までに法務局に供託することが必要なのですが、今回は祝日があるために6日までに済ませておく必要があります。そんななか、党代表とのツーショット撮影まで有料にするなんて、前代未聞です。これでは、政党の意味がないですよ。
●永田町で若狭勝氏の評価が低いワケ
 強引に衆院を解散した安倍晋三首相や、それに乗っかって全国を混乱させている小池代表の破壊力にはびっくりですが、神澤は若狭氏もひどいと思います。“超上から目線”で、民進党から合流する候補者の足元を見て交渉しているようです。

 若狭氏は「元特捜検事」という肩書きが売りですが、同じく検察官だった郷原信郎弁護士は、以前から「若狭氏の検事時代のダメダメっぷり」を指摘しています。
 郷原弁護士は旧民主党の勉強会でも話をされており、永田町では若狭氏の評価はかなり低いです。自分の思い通りになる候補者をねじ込もうとして、細野豪志氏や玄葉光一郎氏とかなりもめているようです。政治家に限った話ではないですが、やはり謙虚さは必要です。偉そうにしてしまう人は尊敬されないため、求心力は生まれません。

 これだけなら、永田町では「いるよねー、こういう人」で済むのですが、さらに問題なのは、北海道4区高橋美穂候補に公認を出したことです。
 北海道の国会関係者の間では、高橋候補の“怒声”は超有名です。一部では「豊田真由子以上」といわれ、実は音声を録音している秘書仲間もいます。怖くて聞いていませんが、「それはもうすごい」のだそうです。今後、何かあれば世に出したいと思っているそうで、楽しみです。

●危惧される「さすが自民党」「さすが安倍首相」
 党の方針が決まらない政党の人たちは、候補者はもちろん、秘書も、選挙を手伝う予定の人たちも、関連業者も、候補者が決まらない地区の住民たちも、みんな絶望しかないと思います。
 希望の党民進党が混乱する一方で、自民党は着々と選挙準備を進め、軍資金(選挙資金)もそれなりに配布され、広報物もどんどん完成しています。マニュフェストにもぶれがなく、これでは「さすが自民党」「さすが安倍首相」という評価になってしまうかもしれません。

 このままでは機運が高まらず、投票率も上がりそうにありません。そうすると、結局は国民のためになりません。希望の党がもたらしたのは国民の政治不信であり、絶望なのです。
(文=神澤志万/国会議員秘書