堂々の1位はあの日本映画 米映画ファンサイトが選んだ「見逃したかもしれない21世紀最高の映画十傑」

堂々の1位はあの日本映画 米映画ファンサイトが選んだ「見逃したかもしれない21世紀最高の映画十傑」

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「あなたが見逃した21世紀の10大映画」の首位に日本映画「嫌われ松子の一生」を選出した、米国の映画ファンサイト「Taste of Cinema」の画面。

 映画ファンらがさまざまな主題に沿った推奨作品をランキング形式で紹介する米国のインターネットサイトで、「あなたが見逃したかもしれない21世紀最高の映画十傑」に日本映画が2作選ばれ、うち1作は首位に輝いた。その意外な映画とは…。
堂々の1位は意外なあの映画
 そのサイトは「テイスト・オブ・シネマ(Taste of Cinema)」で、「見逃したかもしれない21世紀最高の映画十傑」は、映画評論家、ペドロ・モラータさんの選出による。モラータさんはアジア作品に詳しいという。
 さて、早速そのランキングを10位から見てみよう。次の通りだ。

 (10)「リリア 4-Ever」(2002年 スウェーデン/日本は劇場未公開だがCSで放送)
 (9)「星から来た男」(2008年 韓国/日本はイベントで公開)
 (8)「扇情」(2009年 ベルギー・仏/日本は劇場未公開だがDVDで販売)
 (7)「He Never Died」(2015年 米・カナダ/日本未公開)
 (6)「エグザイル/絆」(2006年 香港/日本公開は08年)
 (5)「Krisha」(2015年 米/日本未公開)
 (4)「呼吸-友情と破壊」(2014年 仏/日本はイベントで公開)
 (3)「愛のむきだし」(2008年 日本)
 (2)「テイク・シェルター」(2011年 米国/日本公開は12年)
 (1)「嫌われ松子の一生」(2006年 日本)

3位の「愛のむきだし」は園子温監督(55)の3時間57分に及ぶ作品で西島隆弘(30)と満島ひかり(31)が主演。第59回ベルリン映画祭で「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞するなど実は、海外での評価は高いが、これを、そして海外作品を押しのけて首位に選ばれたのが中島哲也監督(58)の「嫌われ松子の一生」。主演の中谷美紀(41)は、この映画を経て日本を代表する女優にステップアップした。
 選者のモラータさんは、「嫌われ松子」を最高の作品に選んだ理由をこう説明する。
 「ワクワクさせ、面白く、知的で、空想的。絶対みるべきだ。これがハリウッド映画だったらすべてのオスカー(アカデミー賞)を征服し、『ラ・ラ・ランド』(2016年)のような記録を達成しただろうに、そうでないのは実に悲しい」
 まさに激賞だ。
実は欧米人受けする物語
 「嫌われ松子の一生」とはどのような作品だったか、おさらいしよう。
 この映画は小説家、山田宗樹(むねき)さん(51)の同名小説(2003年)を映画化した。中島監督は「下妻物語」(04年)「告白」(10年)などで知られる。
 ある事件を契機に人生が一変、運命にとことん翻弄される女性をミュージカル仕立てに描く。

 1947年、福岡県に生まれた松子(中谷)は幸せな子供時代を送るが、中学教師として校内のある事件に関わってから転落の一途をたどる。殺人を犯し、刑務所に服役。どんどん不幸になっていく。実に救いのない話なのだが…。
 「欧米人に受けそうな要素が多いからでしょう」
 納得できると説明するのは、公開時に宣伝プロデューサーを務めた映画会社東宝宣伝部の中山正樹さん(43)だ。
 「意外に思う映画ファンもいるでしょうが、ストーリーが西洋人向きだったことが大きいのでは。悲劇から“救い”への流れ。これは、まさにディズニー映画の王道。しかもミュージカル風で、加えてアニメ映画のような極彩色の映像も印象的。『ラ・ラ・ランド』もこの系譜に連なるでしょう」
 選者のモラータさん同様、中山さんも「ラ・ラ・ランド」を引き合いに出する。ある意味「ラ・ラ・ランド」に先んじた21世紀の映画なのかもしれない。
 「嫌われ松子の一生」は、韓国ではミュージカル舞台化され、10月27日からソウルの劇場で上演される。