ながらスマホによる死亡事故の実態、米政府統計が示す以上に深刻か
Photographer: Patrick T. Fallon/Bloomberg
交通事故による全米の死者数は2015年と16年の2年間で14.4%増加。16年には、1日当たりの死者数が10年ぶりに100人の大台を超えた。それでも規制当局は、このような大幅増加の理由をいまだに解明できずにいる。その解明の鍵となりそうなのが、スマホ保有率の変化、米国人によるスマホの使い方の変化、死亡事故で誰が犠牲になったかという3つの点だ。
まず、14年から16年までに、「iPhone(アイフォーン)」などのスマホを持つ米国人の割合は75%から81%に上昇した。次に、運転中の携帯電話の使われ方も変わった。音声通話は影を潜め、もっと注意力を必要とするショートメール送受信やツイッター、フェイスブック、インスタグラムの使用が台頭するようになった。3つ目は、死亡事故の犠牲者の大半は、スマホに気をとられるドライバーの目に留まりにくい自転車やオートバイに乗っていた人か歩行者だということだ。米国で車にはねられて死亡した歩行者は16年に5987人と、2年前から1100人近く(22%)増えた。
米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の統計では、15年に携帯電話が関係した事故の死者は448人と、全体の1.4%にすぎなかった。飲酒運転が原因の事故で死んだ人の数はこの23倍ということになっている。だが、携帯電話が原因の事故はこの統計よりもっと多いはずだとの見方を支える手掛かりもある。同年の統計によると、車両が単に直線走行している最中に起きた死亡事故が過半数を超えていた。道路脇や歩道の自転車や歩行者など、小型車よりも小さいものをひき殺してしまうという事故が多発しているのだ。
サンフランシスコのスマホ関連データ分析会社、ゼンドライブが300万人を対象に実施した調査によると、運転手は運転時の88%において携帯電話を使用した。ただ、電話をどこかに固定させ利用するいわゆるハンズフリーは含まれていないため、実際の使用割合はもっと高かったと考えられる。
Source:Apple