11月に来日する米国のトランプ大統領拉致被害者家族と面会することが明らかとなり、北朝鮮による拉致問題に再び国際的なスポットが当たりつつある。
 一方で、2002年10月に蓮池薫さんら5人の拉致被害者が日本に帰国してから、15年が経った今も、拉致問題の“時計の針”が止まったままであるのも、また事実だ。
 だが“手がかり”はある。
 本誌は今回、止まった時計の針を進める可能性のある政府の極秘文書を入手した。04年に作成されたこの文書は、「内閣官房拉致被害者・家族支援室」(当時)が5人の拉致被害者たちから極秘裏に聞き取り調査を行い、分析を加えたものだ。そこには彼らがいかにして拉致され、“教育”され、どのような生活を強いられたかが生々しく記述されている。
 例えば、地村保志さん(1978年に富貴恵さんと拉致)は、自分たちがターゲットに選ばれたのは、〈偶然であったとしか思えない〉として、次のように証言している。
〈4人の実行犯は、我々の後をつけていたのではなく、展望台で我々が彼らを追い越していった〉
 さらに拉致の目的については、蓮池薫さん(78年に祐木子さんと拉致)が、こう証言している。
〈北は当初我々を工作員として使おうとしていたのだろう。指導員からは『日本に行って東大生と仲良くなれ』と言われていた〉
 ほかにもこの文書には、監視下における北朝鮮での緊迫した生活、さらに横田めぐみさんをめぐる重要な証言も記録されている。
 外務省関係者は文書の意義をこう評価する。
拉致問題において、目ぼしい情報をもっていなかった日本政府にとって、この文書の存在が頼みの綱でした。この文書における彼らの証言が、後に日朝交渉における北朝鮮のウソを突き崩す重要な根拠になった。まさに拉致問題における、“超A級”資料といえるでしょう」
 詳細は、10月26日(木)発売の「週刊文春」11月2日号で報じている。
(「週刊文春」編集部)