国務長官提案の「国連軍対話」に日本は拒否

国務長官提案の「国連軍対話」に日本は拒否 対北圧力に「有害無益だ」


トランプ米大統領(右)とティラーソン国務長官(ロイター)

 北朝鮮問題をめぐって米国、カナダ両政府が呼びかけている国連軍派遣国会合をめぐり、日本政府が両政府に不快感を伝え、12月中の開催の打診を拒否していたことが4日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府は15日に河野太郎外相主催で国連安全保障理事会閣僚級会合を開催し、対北圧力への協力を働きかける考えで、国際社会の足並みを乱しかねない国連軍派遣国会合の呼びかけに困惑している。
 国連軍派遣国会合については、米政権内でも北朝鮮に融和的とされるティラーソン米国務長官の発案であり、トランプ米大統領には伝えられていなかったとの指摘がある。
 国連軍派遣国会合は、11月29日に北朝鮮弾道ミサイルを発射した後、ティラーソン氏が日本、韓国などを交えて開催すると声明で発表した。河野氏も同日の記者会見で「カナダに日程調整をしてもらった経緯がある」と述べていた。
 国連軍は朝鮮戦争の際に編成されたもので、米加両国や韓国、英国など計17カ国で構成される。現時点では朝鮮半島情勢に深い関係を持つとは言い難いエチオピアやコロンビア、南アフリカなども含まれる。
 日米関係筋によると、日本はティラーソン氏の発表に先だち、同氏に開催を持ちかけられたカナダを通じて安保理閣僚級会合直前の開催の打診を受けた。日本側が拒否すると、閣僚級会合の終了後の開催を再提案してきたが、これにも日本側が否定的に対応したことから、現在は来年の開催が浮上している。

 日本政府が国連軍派遣国会合を警戒するのは、開催を主導するティラーソン氏が北朝鮮との対話への意欲を隠さないからだ。9月末に中国を訪問した際には北朝鮮と複数の接触チャンネルがあることをロイター通信などに明かしている。
 ティラーソン氏をめぐっては更迭説が報じられている。また、日米両首脳は対北圧力を最大限まで強め、北朝鮮に政策変更させることで合意しており、日本としてもトランプ氏の関与が確実でない会合に出席するわけにもいかない。
 11月29日の北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けて外務省で開かれた緊急対策本部で、河野氏は国連軍派遣国会合に懸念を表明した。別の外務省幹部も、会合の趣旨が明確でないとして「日本がやろうとしていることと大きく違うのであれば有害無益だ」と話している。