【朝鮮日報/社説】平昌五輪参加を明言しない米国、一体何が起こっているのか

東アジア

朝鮮日報/社説】平昌五輪参加を明言しない米国、一体何が起こっているのか~ネットの反応「何が起こっているか? そりゃ、戦争準備だろ」「在韓米軍の家族は続々と帰国させてるんだろ? そんなところにオリンピック選手を送れないだろ」


ホワイトハウスは7日、平昌冬季オリンピックに米国が参加する問題について「正式には決まっていない」とコメントした。前日「米国の参加決定についてはすでに終わったことではないのか」との質問に米国のヘイリー国連駐在大使が「今なお疑問だ」と回答したのに続き、ホワイトハウスまで米国の平昌オリンピック参加に関する明言を避けた。
国務省の担当者もこの日「米国は韓国で開催されるオリンピックの一員になることを期待している」と語っただけで、メディアの度重なる質問に「参加する」とは明言しなかった。ホワイトハウスの報道官もこの日午後、ツイッターで「米国の参加を期待する」と同じように書き込んだ。まるで国務省と事前に約束でもしたかのようだ。

米国は冷戦の真っ只中にあった1980年、旧ソ連のモスクワで開催されたオリンピックへの参加をボイコットしたが、その後は冬季も夏季もオリンピック参加決定を先送りしたという話は聞いたことがないし、同盟国で開催されるオリンピックはなおさらだ。
今米国が表向き「参加未定」の立場を維持している理由は、北朝鮮の挑発により米国選手団の安全に問題が生じる可能性があるからだ。国務省もヘイリー大使も「米国国民の安全が最優先」と発言している。
韓国大統領府は米国でこのような発言が相次ぐことについて「理解できない」という雰囲気だという。

北朝鮮大陸間弾道ミサイルICBM)を試験発射した直後の先月30日、文在寅ムン・ジェイン)大統領とトランプ大統領は電話会談を行ったが、その際にトランプ大統領は米国の平昌オリンピック参加を約束し、米国オリンピック委員会(NOC)も2カ月前に平昌オリンピックへの参加を正式に発表した。それが今になってこのような状況になったことに大統領府は戸惑いを隠せないようだ。

韓国政府のある高官は「ヘイリー大使の発言には驚いた」とした上で「米国内で何か混乱が起こっているのではないか」との見方を示した。しかし米国の国連大使ホワイトハウスの会議に参加するメンバーの1人であり、しかもヘイリー大使はトランプ大統領の信任が非常に厚いとも伝えられている。韓国大統領府はヘイリー大使の発言が公表された直後、米国に平昌オリンピック参加問題で混乱を起こさないよう求めたが、米国はこれにも明確な回答を示していない。

米国はこれまで「平昌オリンピックの成功に向け支援する」と何度も表明してきたが、ここ1カ月の間に突然「参加は未定」と言い出した理由については今のところはっきりしない。「米中央情報局(CIA)は北朝鮮ICBMを完成させるまで3カ月しかないと判断している」と先日報じられたが、その期限は平昌オリンピックが開催される2月だ。もし来年2-3月までに北朝鮮の核問題をめぐる重大な動きがないのなら、米国としても参加決定を先送りする理由はない。
あるいは米国はオリンピック参加決定を先送りすることで、中国とロシアに強いメッセージを送っているのかも知れない。これも来年2-3月に注目せざるを得ない大きな理由だ。

一方の韓国政府は米国の動向を全く把握できていない。韓米同盟が強固であり、2人の大統領が親密な関係を維持しているのであれば、米国の本音や検討中の問題を韓国政府が把握できないことなどあり得ない。もしかすると今韓国政府だけが仲間外れにされているのではないだろうか。

韓国政府は北朝鮮を平昌オリンピックに参加させようと全力を挙げている。韓国軍合同参謀本部は8日に国防部(省に相当)担当記者らにメールを送り「斬首部隊は韓国軍の正式な用語ではないので、今後は特殊任務旅団という言葉を使ってほしい」と要請した。斬首部隊とは言うまでもなく金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の命を狙う部隊だ。要するに何があっても北朝鮮を刺激せず、平昌オリンピックに参加させたいということだろう。

あるいはもし北朝鮮が平昌オリンピックに参加するようになれば、それは北朝鮮に対する強攻局面から交渉局面への方向転換を示すシグナルになるかも知れない。しかしそれによって実現する交渉が目指すのは北朝鮮の核廃棄ではなく、その正反対になる可能性の方がはるかに高い。しかも米国が平昌オリンピックへの参加決定を先送りしている今の状況から考えると、韓国政府の認識はあまりにも現実離れしているのではないだろうか。

香港メディアは先日、韓半島朝鮮半島)情勢をめぐって中国が北朝鮮との国境付近5カ所に難民収容所を建設する計画を進めていると報じた。また米CIAの次のトップと目されるコットン上院議員は「在韓米軍が家族を同伴させることは中断させるべきだ」と発言した。北朝鮮の核問題が深刻化すればするほど、韓米同盟は一層強固なものにならねばならない。ところが米国は平昌オリンピックへの参加を未定としており、しかもそれについて韓国政府は誰も確かな説明ができない。
韓半島情勢をめぐっていったい何が起こっているのだろうか。