EVで「カエル跳び」一発逆転狙う中国 安全軽視「井の中の蛙」の過信ないか

EVで「カエル跳び」一発逆転狙う中国 安全軽視「井の中の蛙」の過信ないか


 「家電の“二の舞”はどうしても避けねば」。日系自動車メーカーの幹部はポロリと本音を漏らした。
 戦後の日本経済を支えた家電と自動車。だが家電は何社もが経営難に陥り、中国勢に水をあけられた。
 冷蔵庫など白物から音響や映像まで高い技術力で世界の最先端を走ったが、その幹部は「成功体験が足かせとなり、デジタル化の荒波で方向を見誤ったのではないか」と考えている。
 自動車にも荒波が近づいている。中国が技術面でも制度面でも一歩リードする電気自動車(EV)だ。
 日本メーカーは高性能エンジンや省エネなど蓄積された技術を誇ったが、「部品点数が大幅に少ないEVでリープフロッグ(かえる跳び)の中国に先を越された」と危機感を強める。
 これまで常識だった技術発展の段階を踏まず、カエルのようにジャンプして先に行ってしまう現象だ。中国政府もガソリン車の販売規制措置を武器に、EVで海外勢を一気に逆転するシナリオまで描いている。
 ただ、搭乗者や歩行者など人命にかかわる安全性をめぐり、この国がどこまで地道な努力をしてきただろうか。にわか仕込みの“成功体験”を井の中の蛙(かわず)が過信すれば、そのジャンプ先には、深い落とし穴が待っている。(河崎真澄)