【書評】日本に来てご飯の美味しさに驚愕する韓国人が多い理由

【書評】日本に来てご飯の美味しさに驚愕する韓国人が多い理由


shibata20180131

韓国生まれの韓国育ち、生粋の韓国人でありながら、韓国の「不都合な真実」を綴り続ける作家・シンシアリー氏。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介しているのは、同氏の日本旅行記です。彼が感じた致命的で衝撃的な「日韓の差」とは!?

シンシアリー『なぜ日本の「ご飯」は美味しいのか~韓国人による日韓比較論~』を読んだ。「日本という国をこのうえなく憎みながらもこのうえなく憧れている不思議の国韓国」で生まれ育った著者は、母から日韓併合時代に学んだ日本語を教えられ、日頃から日本語に親しんできた。匿名で「韓国人による~~論」シリーズを5冊、扶桑社から出版。歯科医。
いつも短い日程だが、既に20回以上も来日している。今回も週末だけ、姉と姪連れだ。長期間は滞在できない。ブログで「日帝日程のせい」と書いたら大ウケしたそうだ。姉は親日モード、姪は日本大好き。職場でいやなことがある度「日本に亡命してやる」が口癖。彼女は著者にはない気づきがあるらしい。
お笑いなのは、駅で「外国人多いな」と思ったことだ。日本人かな、君は。モノレールに乗るとき、降りる人も乗る人もちゃんと秩序を守る。その当然のことが当然のように行われ、その中に自分がいる。それだけで、「日本に来てよかったと感じる。日本の駅はとても楽しい、気持ちがいいところだという。
姪の発見は「人とぶつからないのが不思議」だった。大混雑の中で誰もが自然に相手を避けて歩く。ここまで徹底して人とぶつからない理由は、著者の観察によれば双方の「20cmの配慮」である。相手も同じ動作をするなら40cmの空間ができる。大勢の人が価値観を共有しながら自然に身につけたものだと。
そのような観察を楽しむ彼は、コンビニの外国人店員の「いらっしゃいませ」が気に入らない。店に入って「いらっしゃいませ」の、あの日本ならではの身についた笑顔がないと、とてもがっかりする。日本のいい思い出が一つもらえなかったような気がする。日本人が自然に身につけたものをよく見ている
彼が思う、日本と韓国の「見えない差のトップはご飯」である。日本のご飯は韓国のご飯より美味しい、と断定する。ご飯といえば「米」だが、韓国で国産米の批判はできない。とくに相手が日本の場合、それは反社会的である。ところが、日本に来て、ご飯のおいしさに驚愕する韓国人が圧倒的に多い
「韓国の方が美味しいはずなのに、日本の方が美味しい」と、韓国人のプライドを逆撫でする意見が出るのはなぜか。著者の考えた理由は、
  1. 質より量を重視する韓国の稲作
  2. ご飯の保管方法
  3. 韓国料理の「変質」
  4. 韓国「接待文化」の副作用
である。化学調味料に依存する強い味を提供し、ご飯は別にどうでもいい韓国の店。味の分析に鋭い日本の消費者。差が出て当然だ。

彼が感じた致命的で衝撃的な日韓の差は、韓国コンビニでは「ビニール袋に弁当を縦に入れる」店員がいるということだ。日本式に平らに入れるのではない。店員が何を考えていたのか分らないが、客の立場であったなら、弁当の縦入れなどという蛮行はしないはずだ、と激しくお怒りである。そりゃそうだが(笑)。
日本を旅行する韓国人は日本のよさに気づくが、褒めるよりは貶さなくてはならぬという義務感に囚われる。日本はつまらなかったと言いながら、リピートを繰り返す不思議な韓国人が多いそうだ。「韓国人による~~論」シリーズと違い、のんきな旅行記の体裁で日韓比較論を提示していて楽しい。
編集長 柴田忠男