自衛隊ナンバープレートの読みかた 一般車のそれとは別物、数字の意味するものとは
自衛隊ナンバープレートの読みかた 一般車のそれとは別物、数字の意味するものとは
自衛隊車両のナンバープレートは、その多くが独特な6桁の数字の組み合わせになっています。ほか、バンパーのあたりにも数字と漢字の組み合わせ文字が書かれています。どう読めるものなのでしょうか。
一般車両とはひと味違う自衛隊のクルマのナンバー
自衛隊が運行している車両をよく見てみると、見慣れないナンバープレートが取り付けられていることに気が付きます。私たちが普段乗っているクルマのナンバーは陸運局が発行していて、地域名、分類番号、ひらがな、そして一連の番号が与えられています。しかし、自衛隊のナンバープレートは「00-0000」のように前半2桁、後半4桁という6桁の数字だけが記載されています。なぜ、このような表記なのでしょうか。

自衛隊法第114条には、この適用外車両であることを分かりやすくするために、「防衛大臣の定めるところにより、他の自動車と明らかに識別することができるような番号及び標識を付さなければならない」と明記されています。これが、自衛隊車両のナンバープレートが一般のクルマと違うことを示す根拠になります。
余談になりますが自衛隊および防衛装備庁における車両のナンバープレートは、すべて陸上自衛隊の補給統制本部長が付与しています。補給統制本部とは、戦車からトイレットペーパーに至るまで、陸上自衛隊で使用するすべての補給品を扱う部署になります。
では、この6桁の数字には、いったいどのような意味が込められているのでしょうか。
あの2桁+4桁の数字の読み解きかた
まず左側の2桁の数字を見てみましょう。この2桁の数字は車両の種類ごとに付与される番号で、自衛隊内の「自動車番号付与区分表」という文書で明確に示されています。たとえば、01から03は小型トラック、04は「他の分類番号の区分に属さない車両及び誘導武器たる自動車」といった要領です。戦車は「装軌車両」という分類になり、番号は90から98までが割り振られています。
観閲式にて、防衛大臣が乗ったクルマのナンバーは「03-0001」(矢作真弓撮影)。 | 防衛装備庁は「99」から。写真は開発中の「遠隔操縦装軌車両」(矢作真弓撮影)。 | 陸自保有でも市販車などには陸運局のナンバーが付くことも(矢作真弓撮影)。 |
ほかにも、職種車両別に使用される番号が変わってきます。たとえば、81は化学器材、86は航空器材、99は防衛装備庁が使用する車両といった具合です。この与えられた番号を見ることで、その車両がどの分類のもので、どの職種で使われる車両なのかが分かるようになっているのです。
ちなみに、下4桁の番号は一連の連番になっているので、特に意味は無いそうです。また戦車のほか、ナンバープレートを装着することが不適切と判断された車両には、車体にナンバーを直接書き込む方法で表記されています。
他方、自衛隊車両のなかには一般と同じナンバープレートを装着している車両もあるのです。この違いは「用途に応じて使い分けている(陸幕広報室)」との事でした。よく見ると、一般ナンバーを装着している自衛隊車両は、駐屯地司令などが乗る黒塗りのクルマや、マイクロバスなどの主に一般道を走るだけの車両に多く見られます。高官などが乗る黒塗りのクルマは、警備上の理由から一般のナンバープレートを装着すると聞いたことがありますので、納得できる話だと思います。
漢字と数字が組み合わさったほうは…?
自衛隊車両には独特のナンバープレートのほかにも、バンパー付近に白く書かれた文字列が見られます。なにかの暗号のようにも思えますが、これにはどういった意味があるのでしょうか。

実はこの数字と漢字の組み合わせ文字は、その車両の所属が省略されて記載されているのです。たとえば、「第1普通科連隊第1中隊」と記載した場合、文字数が多く、すべてを読まないと部隊が分かりません。それを避けるために、部隊名を省略して「1普1中」と記載します。ほかにも、第1機甲教育隊第2陸曹教育中隊は「1機教-2」、第12旅団司令部付隊は「12旅-付」などと書かれています。
実は、創隊から10年以上が経過するも、未だに秘密のベールに包まれた部隊が存在します。それは陸上自衛隊の特殊部隊である「特殊作戦群」です。部隊は習志野駐屯地に所在するといわれていますが、その部隊の内情はほとんど公開されていません。車両も持っていますが、部隊表記は不明なままで、例えば「特戦群」などと書かれてはいません。
このように、ナンバープレートや部隊表記には多くの情報が含まれているのです。もしどこかで自衛隊車両を見かけた時は、ナンバーや部隊名も気にしてみてくださいね。
【表】自衛隊車両のナンバーの区分
