月のウサギに大量の氷眠る? 隕石分析で判明 人類居住へ高まる期待

月のウサギに大量の氷眠る? 隕石分析で判明 人類居住へ高まる期待


月に氷がたまったメカニズム
月に氷がたまったメカニズム

 地球に届いた月の隕石(いんせき)に、水がなければ生成しない鉱物「モガナイト」が含まれていることを東北大などの研究チームが初めて突き止めた。水分豊富な別の隕石によって月に運ばれた水は、現在、ウサギの姿に見えるくぼ地の下に氷の形で大量に埋まっている可能性があるという。2日付の米科学誌で発表した。月の水は、人工衛星による観測で、北極と南極の表面に存在することは知られていたが、それ以外の場所にもあるかどうかは謎だった。

 低温で過酷な環境の極地に対し、人類が降り立ったことのある比較的活動しやすい場所なら、地下から水を採取できる可能性は高まる。将来、居住する際の飲料水や水素燃料の原料として期待される。
 東北大の鹿山雅裕助教(惑星科学)らは、ウサギに見える月の「プロセラルム盆地」から宇宙空間を漂った後、約1万7千年前にアフリカ北西部の砂漠に落下した隕石を詳細に分析してモガナイトを見つけた。

 モガナイトができるには高い圧力がかかった場所でアルカリ性の水の蒸発が必要だ。研究チームは(1)アルカリ性の水を含む隕石が月の盆地に衝突し、できたクレーターに隕石や月の岩石の破片が集まって、その隙間に水が蓄積(2)地表近くの水が太陽光で蒸発してモガナイトを作る一方、温度が低い地下の水は凍ってとどまった-とのメカニズムを示している。鹿山助教は「アポロ計画で採取された月の試料で水の痕跡がないか分析し、月探査の推進につなげたい」と話している。