日本の豪華客船を海賊から守った自衛隊 任務遂行後、客船を見ると

日本の豪華客船を海賊から守った自衛隊 任務遂行後、客船を見ると


インド洋に位置する、アラビア半島ソマリア半島に挟まれたアデン湾。
アデン湾では長年、ソマリア海賊による襲撃が問題視されています。
自衛隊を含む各国部隊の対処によって徐々に被害件数は減少しているものの、現在も危険な場所であることに違いはありません。
2018年4月、日本最大の客船である『飛鳥Ⅱ』は世界一周クルーズを行う上でアデン湾を通らなければなりませんでした。
しかし、いつ海賊に襲撃されるか分かりません。そのため、海上自衛隊が飛鳥Ⅱの護衛任務を行いました。

豪華客船を守った自衛隊に、『ありがとう』の垂れ幕

飛鳥Ⅱの護衛を担当したのは、海上保安官8名含む210名が乗船した第29次隊『せとぎり』。
アデン湾を通る際、護衛艦せとぎりと哨戒機P3-C、SH-60Jで、飛鳥ⅡとAMADEA(旧:飛鳥)の周囲の安全を確認しました。
少しでも怪しい船が観測されると、せとぎりを増速させ、海賊ではないか判断。慎重にアデン湾を進んで行きました。
そして、飛鳥Ⅱは無事にアデン湾を渡ることができたのです。
飛鳥Ⅱに向かって、せとぎり乗組員が手旗信号で送ったメッセージは「貴船の安航を祈る」。
そして、飛鳥Ⅱは応えるかのように「見守ってくれてありがとうございます」と書かれた垂れ幕を掲げました。

飛鳥Ⅱ船長からのお礼状

護衛任務を遂行した後、飛鳥Ⅱの船長である小久江尚さんから「護衛艦せとぎりのみな様へ」と書かれたお礼状が届きます。
そこには、危険な中船を守り抜いてくれたせとぎり乗組員への感謝の気持ちがつづられていました。
このたびの船団護衛、誠にありがとうございました。
3年ぶりとなるこの世界一周クルーズにおいて、海賊行為が一時のピーク期に比して激減しているとはいえ、当該エリアの航行にあっては、お客様をはじめとする私ども乗組員の不安も少なからず残っていた中、 貴艦やP-3Cに護衛いただけた事は、本当に心強く、また大きな安心感へと繋がって行きました。
14日早朝における航行中、小さなボート2隻を引いた漁船と思しき小型船が船首方向に認められた際には、貴艦が直ちに増速され、当該小型船の安全性をいち早く確認していただき、我々の横を安全にかわり行くまで見守って下さいました。
これがもし単独航行であったなら、その不安感は計り知れないものだったであろうと容易に想像がつくところです。
また14日の午後には貴艦に加え2艘のP-3Cの雄姿を目の当たりにし、皆様とエールを交換させて頂いたことは、非常に貴重な体験となりました。
更には、最後のお別れの際に、貴艦の舷側に整然とかつ勇ましく立ち並ばれた乗員の皆様による登舷礼にはお客様はもちろんの事、乗組員にとって生涯忘れられぬ思い出となりました。
皆様の熱き想いと守り抜くぞという強いご意志の下、最後まで安定的に護衛下さったお陰をもちまして、飛鳥Ⅱは無事にアデン湾を航行することができました。
ここに心より感謝の意を表します。
皆様におかれましては、厳しい環境下における夫々の任務を無事に終えられ、元気に日本にお戻りになられることを祈念いたしております。
防衛省統合幕僚監部 ーより引用
あまり大きく取り上げられることはないものの、海外で日本国民が危険な目に遭わないよう、こういった任務も行っています。
飛鳥Ⅱの乗組員や船客も、彼らの姿を見て心から感謝したことでしょう。
今回の件に対し、ネット上では「まさに守護神ですね!」「もっと報道されるべき」「海外でもこんなに活躍してくれているだなんて!」といった声が上がっています。
私たちが世界で船旅を楽しむことができるのは、陰で自衛隊が支えてくれているからだと気付かされますね。