元陸自幹部が明かす、自衛隊が日報を隠すに至ったやまれぬ理由

陸自幹部が明かす、自衛隊が日報を隠すに至ったやまれぬ理由


ikeda20180424

モリカケ問題と並び、安倍政権の屋台骨を揺るがすトラブルの一つとなっている、自衛隊の日報隠ぺい問題。なぜこのような事態が起こってしまうのでしょうか。今回の無料メルマガ『心のビタミン』では著者で元陸上自衛隊陸将補の作家・池田整治さんが、官邸に逆らうことが許されないこの国のシステムについて言及した上で、政府が「戦闘地域でない」と言えば都合の悪いことが書かれた作戦日誌は破棄するしかないという、歪んだ現状を暴露しています。

もう嘘はやめよう!

「嘘つきは泥棒の始まりである」
一回嘘をつくと、それが起点となり嘘をつくことが平気になり、ひいては盗みはたらくことさえ悪いと思わなくなってしまう。だから、嘘をついてはいけないという、いにしえからの教えです。
「私や妻が森友問題に関わっていたら首相、国会議員を辞める」
加計学園開設に関しては、圧力をかけたことはない」
イラクスーダンPKO安全な非戦闘地域への派遣である」
日本は、ある意味真面目で優秀な官僚が動かしています。そして、特別な場合を除き、国のトップである官邸の意向には逆らいません
官僚の仕事は、極論すれば「文書作成」業務です。トップの「企図」が違ってきた場合、新たな企図に合うように、「修正」します。つまり、森友問題では、首相と夫人が一切かかわっていなかったことに全ての文書等を差し替えします。その差し替え等が暴露した時は、「現場が責任を取ります。絶対にトップに責任を波及させません。加計問題もしかりです。全て、官僚の「忖度」となります。
イラクスーダンPKOは、世界常識から見ればお笑いです。流動・立体化した現代戦で、安全な非戦闘地域など戦場にはありません。シリア内戦を見てもわかるように、はるか遠くから巡航ミサイルが飛んできます。実際に、イラクスーダン自衛隊駐屯地には、砲弾が落下し、近傍で戦闘が起こっています。この為、地下壕をつくってそこで起居したり、施設科隊員が銃を携行して活動しています。何よりも、国家予算で「棺桶をもっていっていました。隊員の手記には「全滅するかも」とさえ書かれています。
ここで、日々の活動を記す「作戦日誌」が問題となっています。官僚業務と違い、嘘は書きません。砲弾が落下したら正確に記述します。世界常識では、砲弾が落下するような地域を戦場(戦闘地域)と言います。

ところで、何故どの部隊も日々日誌をつけるのでしょうか? 私も現役時代には、演習では副隊長につけさせていました。それは、かわいい部下が戦死した時に、その状況をしっかり書き残して戦闘後の名誉勲章と補償遺族年金)を国家に要請するためです。
そして、祖国に帰った時に、家族のもとに、遺品とともに国家からの勲章と作戦日誌の一部をもっていき、いかに国のために尽くしてくれたか話して家族に赦してもらうのです。こうして、やっと「戦後」となるのです。
PKOは日本国民の代表で行っています。にもかかわらず、日本には「戦死」に対する勲章も遺族年金もありません。「非戦闘地域ですから万一の措置・補償はないのです。ツケは現場の隊員が払わされます。隊員個々がPKO保険に加入して現地にいっているのです。
いずれにせよ、このような作戦日誌には、嘘はありません。だから、政府が「戦闘地域でない」と言えば、破棄しかありません。それを、破棄した自衛隊の責任にしますか?
池田整治(元自衛隊陸将補)この著者の記事一覧
日々心に浮かんだエッセイを綴り発行します。内容は、家族の絆,自然との一体感,社会の真実の三分野で、それらを霊性の向上でまとめたいと思います。