ロバート・ケネディ暗殺、真犯人は別にいる? 事件から50年、長男が「単独犯説」に疑義

ロバート・ケネディ暗殺、真犯人は別にいる? 事件から50年、長男が「単独犯説」に疑義

ロバート・ケネディ氏(AP)

 【ワシントン=黒瀬悦成】ジョン・F・ケネディ元大統領の下で司法長官を務めた同氏の弟、ロバート・ケネディ上院議員(当時42歳)を1968年に暗殺したとして服役中のサーハン・サーハン受刑者(74)について、長男のロバート・ケネディ・ジュニア氏(64)は米紙ワシントン・ポスト(28日付)に「父を殺した真犯人は別にいる可能性がある」との見解を明らかにした。
 ロバート氏の暗殺事件をめぐっては、これまでもサーハン受刑者のほかに「第2の実行犯がいる」などとする説が取り沙汰されていたが、息子であるジュニア氏の発言を機に事件の真相解明を求める機運が改めて高まる可能性がある。
 ロバート氏は当時、68年大統領選で民主党の候補指名を争っていたが、同年6月5日、カリフォルニア州ロサンゼルスのホテルで同州予備選の勝利を祝う演説を行った直後、サーハン受刑者に拳銃で撃たれて死亡したとされる。サーハン受刑者は現場で取り押さえられた。
 しかし、サーハン受刑者がロバート氏の前方約1メートルにいたとする複数の証言がある一方で、地元の検視官が「致命傷となった頭部への銃弾は右耳の数センチ後方から撃たれた」と語ったことなどから、複数犯による犯行との見方が浮上した。

 また、サーハン受刑者は所持していた拳銃に装填(そうてん)されていた銃弾8発を全て撃ち尽くしていたが、事件が起きた瞬間に偶然録音されていた音声を専門家が解析したところ、計13発の銃声が確認されたという。
 サーハン受刑者はパレスチナ系で、犯行の動機について当初は「ロバート氏が親イスラエル的だったため」と供述。しかし、後に「銃撃の瞬間のことは覚えていない」と主張したことから、同受刑者を診断した心理学者などからは「何者かに催眠術で操られていた」とする指摘もある。
 サーハン受刑者は69年に死刑を宣告されたが72年に終身刑減刑され、カリフォルニア州内の刑務所に収監されている。
 ジュニア氏は昨年12月に同受刑者を訪ね、約3時間にわたり面会。ジュニア氏はポスト紙に「父の殺害で間違った人物が有罪となっている恐れがあることを心苦しく思っている」と述べた上で、事件の再捜査を支持する立場を表明した。