◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆2018.06.16

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週の日本市場はしっかりと続伸した。」

M「ああ。2週連続の上昇となり、日経平均は3週間ぶりに23000円台に乗せる場面も見られた。」

T「今週は非常に重要イベント多い一週間だったが、その割にはしっかりだったと言えるかもな。」

M「ああ。それも波乱無く、ある意味無事通過したと言えるだろう。」

T「先週末のG7では、保護貿易を巡り米国と主要6カ国との対立が鮮明になり、今週それを引きずるのではとの懸念もあったんだが・・。」

M「そうだな。G7は何とか共同声明発表したものの、その数時間後にはトランプ大統領が共同声明への支持を撤回すると発言し、更に改めて自動車輸入関税の導入も示唆したからな。」

T「でも市場では、G7はどうせまとまらないという見方も多かったようで、改めて嫌気する動きは見られなかった。」

M「ああ。週明けには米朝首脳会談へとの市場の関心がシフトしていたことも幸いしたのかもな。」

T「その米朝首脳会談も無難にこなした格好だ。トランプ大統領も穏便に対応しており、何事もなく無事に終えた。」

M「まあ合意した内容にも何も無かった印象だけどな。」

T「そうだな。具体的な事は何も決められず、取りあえず今後しっかり話し合って勧めていこうという合意内容だ。」

M「まあ、初回だけに顔合わせ的な会談だったと言えるだろう。」

T「確かにそうだな。何か結局ダラダラと長引く感じになりそうだけどな。」

M「まあ、その間、北朝鮮による挑発行為は無いだろうし、市場の関心も薄れていくんじゃないのか。」

T「ただ北朝鮮への制裁は非核化終了するまで続けるとの事だけに、北朝鮮としてはそれを何とかしたいはずだからな。」

M「かといって米国が求める完全非核化なんてすぐに出来るモンでもないからな。」

T「まあ今後どうなっていくのか注目だろう。」

M「米朝首脳会談が終わった後は、市場は米FOMCへと関心が移っていった。」

T「FOMCは前回よりはややタカ派寄りとなったが、まあそれほど大きなサプライズはなかったといえる。」

M「そうだな。想定通り利上げを決めたが、金利見通しが引き上げれらた。FOMCメンバーによる金利見通しの中央値が今年4回に引き上がった。」

T「前回まで3回だったからな。既に今年2回利上げしているだけに、あと2回ということになる。」

M「ただよくよく見ると、1人のメンバーが金利見通しを引き上げたことにより、中央値が引き上がった格好であり、まだまだ見方は割れている状態だ。」

T「ああ。それだけに今年4回という見通しが今回中央値となったものの、3回の可能性も大いにあり得る状況だな。」

M「それだけに、前回からさほど変わっていないとも言えるだろう。」

T「市場の反応を見ても、一時的に動き見せた程度であり、市場に大きな変化は与えていない。」

M「それよりもECBの方がややサプライズだったといえるかもな。」

T「そうだな。欧州でECB理事会も今週行われたが、現状の量的緩和政策について、年内で終了することを決定した。」

M「ああ。買入規模は9月までは月300億ユーロだが、10月から年末までは月150億ユーロに減額するとのことだ。」

T「まあ、これに関しては想定されていた範囲内の事だな。」

M「ああ。サプライズとなったのは、利上げ時期だ。量的緩和政策終了後も現状の政策金利を維持して、少なくとも来年夏までは利上げしない方針を示している。」

T「市場では遅くても来年6月には利上げに踏み切るとの見方だっただけに、思った以上にハト派的な結果となった。」

M「ああ。夏までというのも曖昧だが、早くても利上げは9月という感じなんだろう。」

T「場合によってはもっと後ズレする可能性もあるわけだからな。」

M「この結果をうけて、ユーロが大きく売られている。」

T「このままユーロ売りの流れが続いていくのかはまだ不透明だが、ユーロ買いが強まっていく展開は当面想定しにくくなったといえる。」

M「今週は日銀会合もあったが、想定通りノーサプライズだった。物価見通し下方修正しており、日本の金融正常化への道は全く見えない状況だ。」

T「かといって追加緩和という可能性もないだろうし、一体どうしていくんだろうな。」

M「もう手の打ちようがない状況だな。物価が上がらないだけに、金融緩和を緩めることも出来ない。でも長期間の金融緩和は副作用も大きくなってくる。」

T「だよな。このままダラダラと今の金融政策続けて行けば行くほど、副作用が大きくなってくる恐れがある。」

M「黒田日銀総裁は、根気強く今の金融政策を続けていく姿勢を示しているが、このまま物価上がらない状況が続いていけば、何処かで見直す必要が出てきそうだけどな。」

T「そうだな。」

M「取りあえず今週は色々とイベントあったが、無事通過したといえ、来週からは期待したいところだが、昨日トランプ大統領が予定通り中国への制裁関税を行うと正式に発表した。」

T「ああ。ただ以前、発表後すぐに発動すると報じられていたが、実際発動されるのは7/6からだそうだ。しかも段階的に・・。」

M「そうだな。取りあえず猶予は出来た格好だ。その間、米中協議で歩み寄れれば、発動取りやめるという可能性も残されている。」

T「でも実際に発動されれば、中国も同額の報復関税を実施することを既に公表している。」

M「ああ。しかも中国が報復関税に動けば、米国は更に追加関税を行うとも言っている。」

T「まさに貿易戦争だな。」

M「それだけに発動するまでに何とか米中が歩み寄り合意に至れば良いのだが・・・。」

T「昨晩の米国株は一時派手に売り込まれたものの、売り一巡後は下げ渋っていた。」

M「ああ。やはり発動まで日柄がまだあるということもあり、売り込みにくさもあったんだろう。」

T「だからといって安心できる状況ではないからな。」

M「来週は米中通商懸念が燻り続ける恐れはありそうだ。」

T「そうだな。来週はどういう展開になるのか注目だな。期待したいモンだ。」