オウム真理教元代表、松本智津夫死刑囚の刑執行
オウム真理教元代表、松本智津夫死刑囚の刑執行
法務省は6日、1995年の地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教の元代表、松本智津夫死刑囚(麻原彰晃、63)=東京拘置所=の刑を執行したと発表した。事件から23年、日本の犯罪史上最悪のテロ事件の首謀者は、事件の真相を語ることのないまま極刑に処された。
確定判決によると、松本死刑囚は、89年の坂本堤弁護士一家殺害事件や脱会信者殺害事件で、被害者らが自分に敵対したり離反したりしたとの理由で、「ポア」という言葉を使い殺害を指示。94年の松本サリン事件では、サリンの殺傷力や噴霧装置の性能を確かめるため「実際に効くかどうかやってみろ」とサリンの噴霧を命じた。
95年3月の地下鉄サリン事件では、同年1月に発生した阪神大震災に匹敵する大惨事を起こせば、間近に迫った警視庁の強制捜査を阻止できると考え、東京の地下鉄車内にサリンをまくよう指示し、13人が死亡、6000人以上が負傷した。
一審・東京地裁判決は松本死刑囚を「救済の名の下に日本を支配し、その王になろうと各犯行を敢行した首謀者」と位置付け、殺人や死体損壊、武器等製造法違反などの罪で、13事件すべてを有罪と認定。死刑を言い渡した。
控訴審で弁護側は「松本死刑囚は心神喪失状態で訴訟能力がない」と主張、期限までに控訴趣意書を提出しなかった。これに対し、東京高裁は「訴訟能力に疑いはない」として控訴棄却を決定。最高裁は2006年、弁護側の特別抗告を棄却し、死刑が確定した。
かつて再審請求中の死刑囚への執行は避けられる傾向があったが、法務省は昨年相次ぎ執行。再審請求が執行時期に与える影響は小さいとみられていた。