東芝メモリ、岩手新工場を起工 迫る中国、勝ち残りへ1兆円投資
東芝メモリ、岩手新工場を起工 迫る中国、勝ち残りへ1兆円投資
半導体大手の東芝メモリは24日、NAND型フラッシュメモリーの新工場を岩手県北上市で起工した。同社が6月に東芝グループから独立して以来、初めての大型投資。四日市工場(三重県四日市市)に続く第2の生産拠点として約1兆円を投じ、増加するデータセンター向け需要などを取り込む構えだ。(山沢義徳)
起工式後の記者会見で、成毛康雄社長は晴れやかな表情を見せた。北上工場は建屋面積4万平方メートル、5階建て。人工知能(AI)を活用した生産システムも導入し、2年後の量産開始後は1千人余りが働く。
技術開発拠点でもある四日市では6番目の製造棟が稼働し、もう用地の余裕がない。災害への備えも念頭に、今後の増産投資は岩手を中心に進めるという。
フラッシュメモリーの需要は、長期的な拡大が確実視されている。中でも引き合いが強いのは、ハードディスクより高速・省電力でデータを転送できる外部記憶装置「SSD」向けだ。AIや自動運転の広がりを背景に、データセンター事業者の多くがSSDへの切り替えを急いでいる。
こうした需要をつかむため、東芝メモリは米カリフォルニアに拠点を設け、同国に集積するデータセンター事業者への対応力向上に注力。技術開発面では、記憶素子を立体的に重ねてメモリー容量を増やす「多層化技術」に磨きをかけ、世界シェア首位の韓国サムスン電子としのぎを削る。
ただ、サムスンの背は遠い。「技術は微妙なところで競り合っているが、大口顧客を取る上で必要な生産能力が追い付いていない」と、成毛社長も認める。