小山和伸神奈川大学経済学部教授)

 本稿では、公共放送局NHKの問題点と受信料制度を規定する放送法64条の問題点を指摘するとともに、昨年の最高裁判決から受信料の強制徴収を加速するNHKとの戦い方について論じてみよう。

 第一に、NHKは公正な報道を定めた放送法4条に歴然と違反している。例えば加計学園問題をめぐる証言について、安倍政権に批判的な前川喜平文科省事務次官の証言を長々と放送しながら、この前川証言を否定する加戸守行前愛媛県知事の証言はほとんど報道しなかった。報道番組の反日的な偏向姿勢は明らかである。

 さらに、戦前戦中を扱ったドキュメンタリー番組での反日的な偏向ぶりはすさまじい。事実を極めて偏った観点から報道するほか、事実ではないことを事実として報道するなど、報道と言うよりもアジテーションというより他はない番組が、もはやNHK報道の常態となっているありさまである。

 確かな一例として、以前にも紹介した1996年5月20日放送のNHK教育報道『51年目の戦争責任』がある。激しい抗議に懲りたのか、その後これほど露骨な事実捏造(ねつぞう)はしていないNHKだが、日本の公共放送たるNHKによる「日本軍による慰安婦強制連行の証拠が出てきた」との報道の影響力は大きい。

 既に20余年を経た今日でも、韓国製の事実無根の石碑が付いた慰安婦像が世界中に乱立されている。さらに特定団体の国連内での活動も相まって、今や慰安婦問題をめぐる反日姿勢が猛威を振るっている。

 同番組で強制連行の証拠として紹介された「陸支密大日記」(防衛省防衛研究所所蔵)は、慰安婦の募集に当たって悪徳業者の取り締まりを命じた通達文である。それを、文中の単語を巧みに切り張りして、日本陸軍慰安婦の強制連行を命令した証拠文書とした報道が、4条違反と言わずして何と言うのであろうか。