月の「神酒の海」に着陸 JAXAの無人機、3年後打ち上げ

月の「神酒の海」に着陸 JAXA無人機、3年後打ち上げ


 日本初の無人月面着陸機「SLIM」(スリム)が着陸する場所は、月の表側にある「神酒(みき)の海」と決まった。宇宙航空研究開発機構JAXA)が発表した。2021年度にH2Aロケットで打ち上げる。
 神酒の海は低緯度地域にある平原で、月の内部にあったかんらん石が露出している。これを分析することで月の起源や歴史の理解に役立つという。
 月周回機「かぐや」の探査データを基に、着陸しやすい場所を選んだ。神酒の海の名前は、ギリシャ神話の神々の飲み物「ネクタール」に由来する。
 事故で喪失したエックス線天文衛星「ひとみ」の代替機と同時に打ち上げる。小型ロケット「イプシロン」で19年度に打ち上げる予定だったが、ひとみの失敗を受けた計画見直しで延期された。
 目的地に正確に着陸するスリムの技術は、JAXAが構想中の有人月面着陸機への応用も期待されている。坂井真一郎プロジェクトマネージャは「重要性が高まり、身が引き締まる思いだ」と話す。(草下健夫)