◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆2018.10.6

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================
T名実共に下半期相場入りとなった今週の日本市場は反落となった。」

M「ああ。週前半は堅調に上昇し、日経平均は一時24500円を伺う場面も見られたんだが・・・。」

T「先月末ギリギリにNAFTA再交渉で米国とカナダが合意した事が、週前半の相場に追い風になったが、欧州でイタリア財政懸念が再び意識され水を差された格好だ。」

M「まあ、イタリアの財政懸念に関しては、イタリアがEUに譲歩する姿勢を見せたことで、すぐに落ち着いたんだが、やはり今週重しとなったのが米長期金利の上昇だろう。」

T「そうだな。週後半の下落はそれが大きな要因になったといえる。」

M「水曜日に発表した米ADP雇用統計やISM非製造業景況感指数がいずれも市場予測を上回る強い数字になり、米長期金利が急上昇した。」

T「ああ。もともと米長期金利は先月から上昇してきていたものの、3%飛び台での揉み合いとなっていた。」

M「それが水曜日の強い米経済指標をうけて、一気に上放れた格好だ。」

T「週末には労働省発表の雇用統計が発表される予定だっただけに、その雇用統計で更に金利高に繋がるのではとの警戒感も意識された。」

M「そうだな。そもそも9/7に発表された雇用統計で、賃金の伸びが約9年ぶりの高い伸びとなり、それから米長期金利が上昇基調になっていたからな。」

T「ああ。それだけに今回の雇用統計で更に金利高に繋がるのではとの懸念も意識されやすかったといえる。」

M「米長期金利の上昇をうけて、米国株売りに繋がったほか、新興国株売りにも繋がった。」

T「中国市場は今週は国慶節で休場だったが、香港や台湾などアジア株が弱かったことも日本株の重しとなった。」

M「米長期金利の上昇は、米国経済を冷やすことに繋がる恐れもあるし、何よりも資金の流れに変化が出てくるとの警戒感に繋がる。」

T「好景気でも低金利状態が長く続く、いわゆる適温相場が終演するのではとの警戒だな。」

M「ああ。今年の2月の波乱相場は、そういった懸念が強まった結果だ。今年1月末へ向けて米長期金利の上昇が急ピッチとなり、適温相場終演への懸念から米国株売りに繋がった。」

T「更にそれによりVIX指数、いわゆる恐怖指数が急騰したことも、株安の流れに拍車をかけた。」

M「いわゆるVIXショックだ。」

T「今の米長期金利は、その時の水準より全然高いし、足元急ピッチに上げてきたことで、今年2月の暴落再来という懸念も意識されやすいんだろう。」

M「だろうな。それだけに今週の米国株は手仕舞い売りに押され売られてしまい、日本株にも重しとなった。」

T「カナダとのNAFTA再交渉合意をうけて、貿易関連株が買われた他、米長期金利上昇で金融株はしっかりだったため、ダウは比較的に強かったんだが、何よりもハイテク株の売りが今週は目立ったといえる。」

M「そうだな。その為、ナスダック指数は今週大きく下落している。」

T「ハイテク株は金利上昇により割高感が意識されやすくなるからな。それにネット関連株には規制強化懸念も重しとなったといえる。」

M「ああ。フェイスブックがセキュリティー上の欠陥が見つかったと前週明らかにしたことで、当局がそういったネット関連企業への規制を強化するのではとの懸念が再燃した。」

T「それに米中貿易摩擦への懸念もハイテク株には燻っているともいえる。」

M「中国で組み立てられた米国向けサーバの基盤に不審な半導体部品が埋め込まれ、情報を盗み取られる恐れがあるとの懸念なども浮上した。」

T「なんか、ここに来てハイテク株を売る理由探ししているような流れになっているようにも思える。」

M「そうだな。それだけ米国のハイテク株は随分と高い水準まで買われてきたと言うことなんだろう。」

T「まあ今年ここまで色々とあったものの、それでもしっかりと米国株は上昇している。その米国株を牽引してきたのは、やはりハイテク株だからな。」

M「このまま米ハイテク株が本格調整入りとなるようだと、日本株にもかなりの重しとなるだろう。」

T「一時的な調整にとどまれば良いのだが・・。」

M「暫くは米長期金利の動向が意識されるだろうな。更に金利上昇になるようだと、ハイテク株売りも強まる恐れもあるし、今年2月の世界同時株安が更に意識される恐れもある。」

T「昨日発表された米雇用統計は、雇用者数こそ弱かったが、失業率は約48年ぶりの水準に低下し、賃金の伸びも堅調だった。」

M「まあ、それほどサプライズある雇用統計ではなかったんだが、それでも米長期金利は上昇した。」

T「ああ。米雇用統計を機に、米長期金利の流れが変わればという期待もあったんだが・・。」

M「来週、米長期金利がどういう動き見せるのか注目される。」

T「それに、やはり昨晩発表された米貿易統計では、対中貿易赤字が過去最高水準に膨らんでおり、それも嫌気された面もあるようだ。」

M「貿易摩擦による影響なだけに、改めて米中貿易摩擦懸念が意識される要因といえるからな。」

T「来週から中国市場が国慶節明けで再開される。中国市場休場だった今週は、香港市場も軟調だっただけに、週明けの中国株の動向が意識されそうだ。」

M「また派手に売られるようなことになれば、他の市場へも悪影響を及ぼすし、それにより改めて米中貿易摩擦が意識されることに繋がる懸念もあるからな。」

T「日本市場は月曜日は休場だが、連休明けの日本株に影響与えるだけに注目しておきたい。」

M「そうだな。まあ今週は一服相場となったが、ここまで急ピッチに上げてきたことを考えれば、良い一服とも言えるからな。」

T「ああ。来週しっかりと切り返す展開になればいいけどな。期待したいモンだ。」