米国で非難殺到:虎の尾を踏んだ中国人留学生

米国で非難殺到:虎の尾を踏んだ中国人留学生

12/21(金) 6:10配信

JBpress


 まず冒頭と次の写真をご覧いただきたい。

【写真】カリフォルニア大学の構内の一室でマージャンに興じる中国人留学生たち。

 1枚目は、駐車場にずらっと並んだベンツやランボルギーニといった欧州高級車。その大半は中国からの留学生の車だ。

 そしてもう1枚は、マージャンに興じる中国人留学生たち。大学構内の一室である。

 「中国紹介イベント」でのデモンストレーションということだが、手慣れたしぐさは日頃から楽しんでいるからだろうか。

 いずれも米人ジャーナリストが米カリフォルニア州サンタバーバラにある州立のカリフォルニア大学サンタバーバラ校のキャンパスで撮った写真だ。

 「ロサンゼルス・タイムズ」は12月13日付電子版で同大学に籍を置く中国人留学生の「不届きな実態」をこう報じた。

 "Faculty fret about cheating and low English skills as UC Santa Barbara enrolls more students from China"

 (受け入れ増加で中国人留学生たちのカンニングと英語力の低さに頭を悩ますカリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授陣)

 (https://www.latimes.com/local/education/la-me-edu-uc-santa-barbara-chinese-students-20181213-story.html

 同15日付けの同紙に掲載されたときには見出しはこう変わっていた。

 "A two-tierd student body?  UC's foreign influx stirs worries of college readiness"
(2つの異なるレベルの学生? 外国人留学生殺到でカリフォルニア大学頭抱える)

 見出しからは「中国からの学生」の文字が消えていた。

 そう言えば、「ロサンゼルス・タイムズ」は2018年夏、オーナーが南アフリカ出身の中国系億万長者のパトリック・スーン・シオン氏になった。

 見出し変更に何か圧力がかかったのか。あるいは編集者が忖度したのか。

■ TOEFL試験不正行為で逮捕された中国人学生も

 中国から米国に留学する学生についてよからぬ噂はこれまでにもあった。

 米大学で入学を許可されるには外国人志願者は「TOEFL」(英語能力検定試験)を受け、合格点を取らねばならない。

 そのTOEFLで不正行為を働いて学生ビザを取得した容疑で逮捕された中国人が後を絶たない。

 2017年にはアリゾナ州立大学、ペンシルベニア州立大学、ノースイースタン大学に入学を許可された中国人留学生がTOEFL試験で不正行為を働き、学生ビザを取得した容疑で逮捕されている。

 中国や、さらに韓国では業者が組織的にTOEFL受験や採点で不正行為を働いているといった話もしばしば聞く。

 (https://learningenglish.voanews.com/a/chinese-students-arrested-toefl/3839870.html

 それだけではない。


 当局の目を逃れて,不正にTOEFLで合格点を取り、渡米し、晴れてカリフォルニア大学サンタバーバラ校に入学している中国人留学生の学習態度が問題になっている。

 現職の教授が実名でそれを暴露したのだ。

 授業中、私語はもちろんのこと、スマートホンを使ったり、途中で用足しに行ったり、注意されてもせせら笑っている一部の中国人留学生。

 その教授はネット上に「授業中のエチケット」を英語と中国語で書いて注意を喚起したが、糠に釘だったという。

 さらにひどいのは、一部中国人留学生の英語力だった。あまりにもお粗末で授業についていけないのだ。論文を書かせると、何と数人の論文が全く同じ。

 「普段、アメリカ人学生でも使わないような古典的なイギリス英語の表現を数人の学生が使っている」

 「中には他の学生の代わりに試験を受けている中国人学生もいるようだ。私たちには中国人の顔は見分けがつかないし・・・」

 その教授は頭を抱えている。

 「むろん、まじめに勉強する中国人学生もいます」

 「もちろん、中国人の学生がみんなそうじゃない。一生懸命勉強し、早く卒業して本国に帰り、多額の学費を出してくれた両親に恩返しをしたいという学生もいます」

 「中国での激しい受験地獄から逃れて、自由なキャンパス生活に憧れてきた学生も大勢います」

 現在カリフォルニア大学サンタバーバラ校に在籍する中国からの留学生数は2173人(2018年)。学生総数が2万5057人だから全体の8.7%、外国人留学生(2534人)の86%を占めている。

 同大学は10キャンパスあるカリフォルニア大学のうち3番目に古い。

 バークレイやUCLAなど他の6キャンパスには後れを取るが、「世界大学ランキング・センター」の評価では第70位。中国の名門北京大学(92位)や清華大学(98位)よりも上位にいる。

 (https://cwur.org/2018-19.php

■ 北京大や清華大よりもランクが上

 同大学になぜこんなに多くの中国人学生が在籍しているのか。理由は2つある。

 1つは、同大学が2008年のリーマンショック以降、海外、特に中国本土からの学生獲得に積極的に乗り出したからだ。

 大学関係者が中国本土に頻繁に足を運び、ネット上でも盛んに宣伝した。

 なぜ中国人を狙ったのか。中国人の富裕層にある「米国留学熱」に目をつけたのだ。

 同大学の場合、赤字財政に苦しんでいた。州立だが連邦政府や州政府からの助成金はしぼむばかり。カリフォルニア大学の中でも状況は一番ひどかった。

 頼れるのは学生からの学費だった。


 州内の学生の学費は年間1万4451ドル(約173万円)、これに比べ州外、海外からの学生の学費は年間4万2465ドル(約475万円)と約3倍。大学経営資金という面では外国人留学生は「金の卵」だった。

 中国人学生のサンタバーバラ行きが激増した理由は、学生側にもあった。1つには「カリフォルニア大学」は中国でも「世界有数の名門校」として認められていた。

 しかも「カリフォルニア大学サンタバーバラ校」に入学許可されるためのTOEFLの合格点数が80。バークレイ(90)やUCLA(87)に比べ低くかった。

 中国人学生にとってはサンタバーバラ校は「穴場」だった。

■ 「遊学貴族」は中国共産党幹部と 「クレイジー・リッチ」の子女たち

 その結果、中国人学生が同大学に殺到したのだが、「ロサンゼルス・タイムズ」の見出しの通り、「2つの異なるレベル」の学生が入ってきたのだ。

 中国共産党幹部や共産党独裁下で巨万の富を得た富裕層の子女。方や「一人っ子」政策の下で生まれた中産階級層の才能のある子女。

 冒頭の写真に出てくる高級車を乗り回し、授業ではカンニングと「論文盗作」を繰り返し、暇さえあれば麻雀を楽しむ「遊学貴族」の大半は、前者だという。

 まさに今年ヒットしたハリウッド映画「クレイジー・リッチ」*1
に出てくる中国人の超富裕層のボンボンやお嬢様たちなのだ。*1
=2018年公開のジョン・M・チュウ監督のロマンティック・コメディ映画「Crazy Rich Asians」(原題)。原作はケビン・クワン。シンガポールに住む華僑の億万長者の華麗な生活をコミカルに描いている。

 「中国ではさすがに外国の高級車で大学に通うわけにはいかないけど、米国なら誰の目を気にすることもないしね」(同大学に通う普通の中国人留学生)

■ 「不届きな共産主義者のガキはキャンパスから追い出せ」

 「ロサンゼルス・タイムズ」の報道に米一般読者からの投書やブログが殺到している。

 そのうち最も過激なブログを紹介しておこう。同州ウォルナット・クリーク在住の「ビル・ハニー」氏は怒りをぶつけている。

 「わが州民が誇りとするカリフォルニア大学の存在意義はなんなのだ」

 「共産主義者の中国人のガキを教育することじゃないだろう。不届きものはキャンパスから追い出せ」

 「世界第2位の経済大国だと豪語するなら中国は自分のガキぐらい自分で教育したらいいじゃないか。それが道理というもんだ」

 「わが州民は奴らのカネなどいらないし、『Diversity』(民族的多様性)も必要とはしない。米国民を雇用し、癒し、教育を授けよ」

 「カリフォルニア大学の総長はジャネット・ナポリタノとかいう同性愛主義者のクリントンの子分。アメリカを憎んでいる女だ」

 「リベラル派が手をつけるとろくなことはない。すべてが壊れる。神と家族とわが祖国に栄光あれ」

 米国内の一部に依然根強く残っている中国人に対する偏見が今回の報道で一気に爆発したようである。

高濱