「アマゾン抵抗力」、世界で明暗

「アマゾン抵抗力」、世界で明暗

ネット・IT
小売り・外食
2019/1/6 1:30
米国ではアマゾン・ドット・コムの台頭が既存の小売業を揺るがす「アマゾン・エフェクト」が猛威を振るう。19世紀末に創業した小売りの名門、米シアーズ・ホールディングスは昨年10月に経営破綻。2017年には家電量販のラジオシャックや玩具販売のトイザラスなどが退場を迫られた。
アマゾンの影響が深刻な米欧の小売り大手は、「アマゾン抵抗力」を高めるためのデジタル戦略で日本の先を行く。
ウォルマートはここ数年「テクノロジーおよびその他資本費用」として年8千億円前後を計上。18年8月にインドのネット通販最大手を160億ドル(約1兆7千億円)で買収するなど、M&A(合併・買収)も加速させる。仏カルフールも5年間で28億ユーロ(約3500億円)をIT関連に投じると発表した。
一方、小売市場全体に占めるネット通販比率が約2割の中国では、ネット勢が実店舗を構える小売り大手をのみ込む。
アリババ集団は17年、百貨店大手の銀泰商業集団を198億香港ドル(約2870億円)で買収した。同業の京東集団も15年に43億元(約700億円)を投じ、大手スーパーの永輝超市と資本提携を結んだ。
永輝の店舗はネットで注文を受けた商品を集配する「倉庫」に近く、もはや買い物の場ではなくなりつつある。ネット通販の急速な普及が業界の「主役交代」を招いている。(河野祥平、花井悠希、大連=原島大介)