刑務所看護師として、印象に残っている体験はありますか?

山本 民子 (Tami Day)
山本 民子 (Tami Day), 過去 正看護婦、刑務所看護婦、教会看護婦、
佐々木さん、たくさんありますよ。本を書いたら?と言われるくらいです。
規模の大きいCounty Jailですから、Inmatesの人口も大きいです。ピンからキリまでの犯罪者を受け入れます。
ひとつふたつ、軽い話だけしましょう。
私の最初の勤務は深夜の午後11時からの勤務で雨が降っていました。私の指導者の男性看護師が「今日は暇だよ。逮捕されて入ってくる数が少ないよ」というので「なぜ?悪人は雨の日は嫌いなの?」と聞いたら。。「そうじゃないCop,お巡りさんが雨に濡れたくないから。。」との返事でした。
癲癇の発作はよく起こるのですが、ある男性が留置所で発作を起こし、発作後の昏睡状態の時にその場所から医療室まで運んでもらうことにして、警備員は大勢いることから、警備員が4人ごと患者の両脇につき合計8人で、患者の衣服を握って運んできてくれました。それで「看護婦さん、(この者を)どこに置いたらいいですか?」と聞かれて、「そこでいいですよ」と床を指しました。途端に全員が同時に手を離してドスンと患者を落としたのです。背が高い警備員達ですから50センチメートル位の高さからドスンと落としたことになります。警備員は看護婦ではないので、私には患者なのですが警備員達には囚人=罪人と思う人も少なからずで、慎重に、ゆっくり静かに患者を横たわせるという考えは全然なかったのです。それ以来、気をつけて、もっと明確に指導して指示することにしました。
若い20代の女性が逮捕されてきました。彼女は私の目が届くように目の前の留置室に入れられました。ちょっとドラッグをやったのでしょう、朗らかでイスに飛び上がったりダンスをしたり。女性の私に目にはちょっとおしゃれだけど並みの女性に見えましたが、男性にはすごい魅力的に見えるらしく、そこにいた囚人も20人ほどの警備員も男性の看護師も老若問わず、男性の医者も口をポカーンと開けて彼女に見とれて、シーンとなって世界が止まったのです。内心へえーっとびっくりしました。男性を惹きつけるのは学歴でもなく人間が良い人でもなく全く動物的な何かがあるのだなあ。。。と思わせられた時でした。それでこの話は終わらないのです。彼女は彼でした。He/sheで全くの男性でした。