5G対応スマホ、いま買うべきか待つべきか
5G対応スマホ、いま買うべきか待つべきか
高額なうえモバイル生活が瞬時に変わる保証はない
「5G」スマートフォンがやってくる、らしい。
米国の消費者は今後数カ月のうちに、次世代通信規格「5G(第5世代)」に対応したスマホを初めて購入できるようになる。大型スクリーンや高性能カメラといった機能を備えた製品が多いようだ。
だが消費者は1000ドルを超える出費を余儀なくされるだろう。しかも、それでモバイル生活が瞬時に変わる保証はない。
大きな長所と短所
近く5Gが提供するはずの超高速アクセスを利用できない消費者が多いとみられる原因は2つある。1つは対象範囲が限られていることだ。
米国の4大通信会社(AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズ、TモバイルUS、スプリント)はいずれも、今年5Gを展開する計画を発表済みだ。だがその対象は国のごく一部にすぎず、ロサンゼルス、シカゴ、アトランタといった一部の大都市に限られている。全米での展開には数年かかるとみられる。
調査会社ガートナーのアナリスト、マーク・ハング氏は「今年5Gスマホを手に入れたとしても、実際に5G網にアクセスできる確率はかなり低いだろう」と述べた。
また、ユーザーが5Gエリアにいる場合でも、技術的な限界のせいで5Gの潜在能力がフルに発揮されないケースがあり得る。
原因を理解するため、5Gには2つの伝達方式がある点に注目したい。ユーザーが選ぶスマホは、両方には対応していない可能性がある。
1つの方式では、高周波帯を使って5Gの電波を伝搬する。長所は非常に速いことだ。テレビ番組1シーズン分を数分でダウンロードできるという説明がよく使われる。短所は電波が壁などの障害物を通過しにくいことだ。もう1つの方式は低周波数を使うため電波は通過しやすいが、速度は劣る。
大半の通信会社はいずれ両方の方式を使う予定だが、現在全ての5Gスマホが両方にアクセスできる訳ではない。そのため機種の選択は、どちらの方式の長短所を選ぶか決めることを意味する。ただ、5Gスマホは4G(LTE)などの既存ネットワークを使えるため、対応する5Gが近くになくても通信できる。
既に発表された機器に関してさえ分からないのは、バッテリーの駆動時間だ。それは機種の当初の訴求力に影響するかもしれない。ただ、これまでのスマホと同じように、世代を経るにつれて改善することも考えられる。
初期ユーザー
以上を踏まえると、消費者にとって大きな疑問は、「5Gスマホ購入は待つべきなのか」だろう。そうとは限らない。
5G Will Be Ultrafast, but the Roll Out Will Be Anything But
ハイテクマニアは5Gスマホユーザーの第一陣入りを狙うかもしれない。利用している通信会社が5Gサービスを提供する都市に住んでいればなおさらだ。また、今年スマホの買い替えを予定しており、通常は数年使い続けるユーザー(増加中だ)は、5Gサービスを見越して今のうちに変更を検討したいかもしれない。
ハング氏は「今年は対象範囲がかなり狭いが、来年はかなり改善する。3、4年以内には間違いなく、5Gサービスが広がっているだろう」と述べた。
メーカーは新機能を詰め込んで高額機種への買い替えを促そうとしている。AT&Tの幹部ジェフ・ハワード氏によれば、これはネットワークのアップグレード時によくある手法だ。
ハワード氏は「折り畳み式や大型のデバイス、内蔵ストレージの大幅拡大やカメラの性能に関する文言の増加と5G関連メッセージの世界的な増加が時を同じくしている事実が偶然だとは思えない。非常に意図的だと思う」と述べた。
押し寄せる製品の波
最近になって幾つかのメーカーが新製品について発表した。例えばサムスン電子は、新機種「Galaxy(ギャラクシー)S10」に5G対応版があると発表した。ディスプレーサイズは6.7インチで、カメラを6つ搭載した製品だ。6月まではべライゾンのみだが、夏にはAT&T、スプリント、Tモバイル、スペクトラム・モバイル、エクスフィニティ・モバイルにより提供される。
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価格や具体的な発売日は未発表だが、カウンターポイント・リサーチでアナリストを務めるジェフ・フィールドハック氏は5Gモデルの価格が同等の4Gモデルより約100ドル高くなり、優に1000ドルを上回ると予想している。サムスンは開くとタブレットになる折り畳み式スマホも発表した。価格は約2000ドルからで、やはり5Gに対応する。