東日本大震災から8年 データから見えるものは…

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東日本大震災から8年 データから見えるものは…

未曽有の被害が出た東日本大震災から、今月11日で8年になります。あれから、被災地はどのように変わったのか。その変化をさまざまなデータから見てみます。

人口

東日本大震災原発事故で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の35の自治体のうち、人口が震災前と比べて10%以上減った自治体は20と半数以上に上り、人口減少に歯止めがかからない実態が浮き彫りになっています。

NHKは、国勢調査をもとにした自治体のデータを使い、岩手、宮城、福島の沿岸部や原発事故でこれまでに避難指示が出された市町村について、震災前の平成23年3月1日から先月1日までの人口の増減をまとめました。

その結果、国勢調査のデータがとれない福島県の7町村を除いた合わせて35の自治体のうち、人口が10%以上減少したのは20の自治体と半数以上に上りました。

このうち、宮城県女川町が40.7%と最も高く、次いで宮城県南三陸町が34.1%、福島県川内村が31.5%、宮城県山元町が28.3%、福島県広野町が26.7%、岩手県大槌町が26.2%、福島県南相馬市が23.4%と7つの自治体では20%以上減少していました。

このほか、岩手県陸前高田市が19.4%、岩手県山田町が19.2%、岩手県田野畑村が15.6%、宮城県気仙沼市が15.5%減少していて、特に岩手県では、12の自治体すべてで人口が減少しています。

一方、震災前に比べて人口が増えているのは、宮城県では仙台市や周辺の名取市岩沼市など、福島県ではいわき市や相馬市などで、地域による差が広がっています。

長期化する避難生活

震災と原発事故の影響で、仮設住宅などで避難生活を余儀なくされている人は、先月の時点でも約5万2000人にのぼり、避難生活はかつてないほど長期化しています。

復興庁のまとめによりますと、先月7日の時点で、全国で避難生活を余儀なくされている人は、5万1778人で、去年の同じ時期より2万1567人減りました。

このうち、プレハブの仮設住宅自治体が民間の賃貸住宅を借り上げるいわゆる「みなし仮設」などで暮らしている人は、去年よりも2万1500人余り減って3万1878人でした。

また、親戚や知人の家などで暮らしている人は、去年よりも22人増えて1万9654人でした。

県外に避難している人は、福島県から3万2631人、宮城県から4196人、岩手県から1028人で、全国47都道府県の1000余りの市区町村で避難生活を送っています。

震災の直後、最も多い時で約47万人いた避難者は、その後、仮設住宅などを経て、高台に再建した自宅や災害公営住宅への入居が進んでいます。

しかし、福島県では、住民の帰還の見通しが立っていない区域も残されるなど、いまだ多くの人が避難を余儀なくされていて、震災と原発事故による避難生活はかつてないほど長期化しています。

今も続くプレハブ仮設住宅の生活

岩手・宮城・福島の3県では、3400人余りが今でもプレハブの仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。

岩手・宮城・福島の3県のまとめによりますと、ことし1月末の時点でプレハブの仮設住宅で暮らしている人は、去年の同じ時期と比べて1万146人減って3418人となっています。

県別では、岩手県で2156人、宮城県で453人、福島県で809人となっています。

震災のあと、最大で11万人以上がプレハブの仮設住宅で暮らしていましたが、自力での住宅再建や災害公営住宅の建設が進んで退去する人が増えました。

一方で、震災から8年となる今でも、多くの人が仮住まいの不自由な生活を続けていて、岩手県の一部の地域では土地のかさ上げなど土地区画整理事業の遅れが課題となっています。

かつてないほど長期にわたる仮設住宅での暮らしや生活の再建に向けたサポートが、今でも必要となっています。

進む災害公営住宅の整備

東日本大震災で自宅を失った人などが入る災害公営住宅は、ことし1月末までに計画の98%にあたる2万9000戸余りが完成しました。

復興庁によりますと、岩手、宮城、福島などの被災地では、津波地震で家を失ったり、原発事故で避難を余儀なくされたりした人が入る災害公営住宅が、調整中のものを除き、2万9675戸建設される計画です。

このうち、ことし1月末までに完成したのは、98.4%にあたる2万9212戸で、去年の同じ時期に比べて1271戸増えました。

県別にみると、岩手県は95%にあたる5583戸、宮城県は99%にあたる1万5691戸、福島県も99%にあたる7514戸などとなっています。

福島県では、災害公営住宅のうち、避難指示が解除された地域に住む人向けのものは計画戸数が確定していないため、数に含まれていません。

一方、3つの県で、高台への移転や地盤のかさ上げ工事で完成した宅地は、ことし1月末の時点で去年の同じ時期より2101戸多い合わせて1万7227戸となり、計画の94.5%に達しました。

災害公営住宅の整備や宅地の造成について、復興庁は、今月中におおむね完了する見込みだとしています。

一方、災害公営住宅には、多くの高齢者が入居しているうえ、かつての地域のつながりが失われているケースが多く、誰にもみとられずに亡くなるいわゆる「孤独死」をする人が目立ってきています。

今後、コミュニティーを再構築することに加え、見守り活動など被災者への支援を継続して行っていけるかが課題となります。

進まぬ防潮堤整備

東日本大震災のあと、国や自治体は、津波の被災地で新たな防潮堤の整備を進めていますが、国土交通省によりますと、これまでに完成したのは東北と関東の6県で52%にとどまっています。

国土交通省は、津波で被災した青森、岩手、宮城、福島、茨城、それに千葉の6県の合わせて671か所で計画されている新たな防潮堤について、ことし1月末時点での整備状況をまとめました。

それによりますと、完成したのは350か所で、去年の同じ時期と比べて80か所増えましたが、依然として計画の52%にとどまっています。

完成した防潮堤を各県ごとに見ると、宮城県は350か所のうち40%にあたる139か所、岩手県は134か所のうち54%にあたる73か所、福島県は101か所のうち77%の78か所となっています。

また、茨城県は55か所のうち71%にあたる39か所、千葉県は22か所のうち55%にあたる12か所、青森県は9か所すべてで完成しています。

防潮堤の長さで見ると、完成したのは約285キロと、計画されている約460キロの62%となっています。

完成していない321か所のうち、宮城県の9か所では設計や地元との調整を進めていて「未着工」ですが、残る312か所では、すでに工事が始まっています。

国土交通省は「2年後をめどに、避難指示区域内を除くすべての防潮堤が完成するよう、引き続き、自治体への支援を進めたい」と話しています。