FOMCは「ニュースで買って事実で売れ」に-ストラテジストの見方

FOMCは「ニュースで買って事実で売れ」に-ストラテジストの見方

Joanna Ossinger
2019年3月20日 3:02 JST
「辛抱強い」とは何を意味するのか。「ドットプロット(金利予測分布図)」はどう配列されるのか。インフレ目標やバランスシートの縮小へのアプローチはどうか。20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が発表する政策決定を、投資家は固唾(かたず)をのんで待っている。米国だけでなく、欧州や日本、中国の中央銀行に関しても先行きが見通しやすくなったとの楽観が市場にはある一方、想定外のワイルドカードへの警戒もある。マーケットはこの状況をどう乗り切るのか、アナリストやストラテジストに話を聞いた。

UBSのスチュアート・カイザー氏(ニューヨーク)

  これまでにドットが引き下げられた時の反応では、ユーロはS&P500種株価指数や米10年債利回りなどに比べ、平均でも絶対値でも大きく変動している。円もドットの下げに反応したが、ユーロほどではない。
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  「為替の変動が示唆するのは世界的なリスク・オンの動きであり、インプライドボラティリティーの低下はFOMCにとって選択肢の広がりを意味する」とUBSは分析している。

ゴールドマンのザック・パンドル氏(ニューヨーク)とイアン・ライト氏(ロンドン)


  FOMCが当面は金融状況の引き締めから距離を置くことを確認できるかに、ゴールドマンとしては注目している。この見方などを基に中期的にドルを弱気としているからだと、パンドル氏は15日付のリポートで説明。
  イアン・ライト氏らは18日のリポートで、「米当局が平均インフレ目標にシフトする可能性が依然注目されており、これがブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)と実質金利が反対方向に動く最近の現象に貢献している可能性は高い」と指摘した。
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BMOキャピタル・マーケッツのジョン・ヒル、イアン・リンジェン両氏(ニューヨーク)

  「ニュースで買って事実で売れ」になる可能性は高いと、ヒル、リンジェン両氏は18日付のリポートで予想。市場の期待が極めてハト派に傾いているためだという。
  両氏が注目するのは2年債と10年債の利回り曲線で、「発表までの相場の動きが数週間ぶり安値を試すようなものであれば、なおさら注目に値する」という。「少なくともこのベンチマーク・カーブにおいて、そうした動きは決定発表に至るまでのモメンタムが明らかにフラットニング方向に傾いていることを示し、2019年のドット中央値が追加利上げゼロを意味した場合、20ベーシスにまで急速にスティープ化する可能性が開かれる」と分析した。
  「米金融当局は間違いなく、静かで閑散な状況を維持したいだろう」と両氏は指摘。しかしFOMC会合はリスクイベントとなり得るものであり、「結果として出来高が急増すれば、パウエル議長による政策ミスと判断される可能性が高い」と続けた。