高値更新の米国株、一人勝ちは永遠に続かず
高値更新の米国株、一人勝ちは永遠に続かず
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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米株式市場ではS&P500種指数が最高値を更新したが、他の主要国の株式相場はまだ2018年の高値に戻っていない。だが、米国株の力強いアウトパフォーマンスは永遠には続きそうにない。
低金利とバリュエーションの高騰が米国の強気相場をけん引したとはいえ、金融環境は他の市場とさほど変わりはない。ここ10年に米国株が他の大半の市場をしのぐ上げを演じた最大の理由 ― そしてその傾向に限度がある理由 ― は、もっと基本的な部分にある。企業利益だ。
ファクトセットのデータによると、2008年初め以降、米国株の1株利益(EPS)は80%増加した。一方、日本企業の利益は同じ期間にドル建てでその半分ほどしか増えず、新興国市場では横ばいだ。欧州企業の利益は依然として金融危機前の水準を下回っている。
こうした格差は今後も続くかもしれないが、それ以外の追い風は続きそうにない。何より、米企業利益が国内総生産(GDP)に占める比率はすでに大きく高まっている。20世紀後半には、GDPに占める企業利益の比率は約6%(税引き後)程度で、8%を超えることは極めてまれだった。ところが足元では、昨年の減税効果もあって10%に達している。ここ10年のトレンドを繰り返すためには、この比率が前例のない水準に上昇し、危機前の平均の2倍になる必要がある。
日本でもGDPに占める企業利益の比率が拡大しているが、コーポレートガバナンス(企業統治)を巡る大掛かりな改革が奏功したことが大きい。減税と異なり、企業統治改革は持続的な利益成長を促す可能性がある。これに対し、多くの欧州諸国ではGDP比の企業利益がまだ危機前の水準に戻っていない。
金利見通しが変わったことも、このところの株高の一因だ。ただ、連邦準備制度理事会(FRB)は今のところ、さらに2年ほど利上げを停止するとみられており、実質的に利下げせずに一段と株式相場を押し上げることができるか、見極めるのは困難だ。
これらの要因は、他国の株式相場が米国株を尻目に上昇し始めることを意味するわけではない。他国の株式にもそれぞれ問題はある。
こうした要因が示唆するのは、将来的に、これまでのように劇的なアウトパフォームが期待できないということだ。驚異的な上昇局面が続いた後では、米国株の持ち高が大きい投資家は海外に目を向けるのが得策かもしれない。