温暖化より怖い寒冷化 低下続く太陽活動と異常気象の気になる関係 長辻象平
温暖化より怖い寒冷化 低下続く太陽活動と異常気象の気になる関係 長辻象平
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近年、地球規模で続発する異常気象が気にかかる。
地球の寒暑が、両極端に向けて暴走している印象だ。
◆増加続く二酸化炭素
大気中の二酸化炭素は20世紀を通じて増え続け、1960年ごろに315ppmだった濃度が今では400ppmを超えている。
二酸化炭素には毛布のように地球を保温する力がある。
世界の平均気温は100年間で0・7度ほど高くなっており、二酸化炭素などの増加が原因と説明されている。
◆200年ぶりの低下
その一方で、太陽の活動は、この30年ほど低下中。1800年ごろ以来の異変だ。
と言っても、太陽から地球に届く光のエネルギー量は、この間も安定していて変わっていない。変化が確認されているのは太陽表面の黒点数だ。
黒点数には、約11年周期(サイクル)で増減を繰り返すという性質があるのだが、問題はその様子をグラフに描いたときの各サイクルの頂点が次第に低くなってきていることだ。
1980年ごろにピークを迎えたサイクル21に比べてサイクル22のピークは低かった。そうした低下がサイクル23、24と連続して起きている。
現在は、サイクル24の終盤期。2020年ごろから始まる次のサイクル25の規模が気がかりだ。
◆次周期も低調の予測
「私たちの研究チームの解析からは、サイクル25での太陽活動は、サイクル24と同程度か、さらに弱くなる可能性が高いという結果が得られています」
今田さんらは、太陽表面での磁場の輸送をコンピューターシミュレーションすることなどで次周期の太陽活動度の早期予測を可能にしている。
4月には米海洋大気局(NOAA)などの太陽研究グループも同様の予測を表明した。
◆70年代には寒冷化論
ピーク黒点数の減少で気になるのは、1645年からの70年間と19世紀初頭など、過去の太陽活動不活発期の気候は、いずれも寒冷であったことだ。
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団塊の世代以上の人なら覚えているはずだが、1960~70年代にも豪雨や気温低下などの異常気象が続き、世界中で地球寒冷化が心配されていた。
◆多様な視点が必要だ
太陽活動の低下による寒冷化と二酸化炭素による温暖化。両者のせめぎ合いが当今の気候のような気がしてならない。
IPCCなどは地球に注ぐ太陽の光エネルギーが一定なことを理由に、気候変動に及ぼす太陽の影響を軽視しているが、それでよいのか大いに疑問だ。
気温が上昇した20世紀は大気中の二酸化炭素濃度が増加した時代だったが、全般的に太陽活動が活発な時期でもあった。
今のように太陽磁場が弱まると地球に注ぐ宇宙線が増加し、その作用で雲が増えて気温が下がったり、豪雨を促進したりするという研究報告もある。
二酸化炭素のみしか見ない気候変動対策では、天に唾する結果にもなりかねないと思うのだが…。気候変動は温暖化よりも寒冷化の方がはるかに怖い。