オプション通信5-8 2010/ 8/18 7:45

 第14回 

オプションポジション決済の方法

今週はオプションのポジション(買い建て、売り建て)の決済方法を見てみ
ましょう。オプションの決済には通常の株式取引や先物の売買と違い、いくつ
かの決済方法があります。買い方で3種類、売り方で2種類の方法を取ること
が出来ます。

◇買い方(ロングポジション)◇

(1)権利行使:買い方は満期日に「権利」を行使することが出来ます。
コールオプション」の買い方であれば満期日に権利を行使することで、その
権利行使価格で買うことが出来、「プットオプション」の買い方であれば満期
日に権利を行使することで行使価格で売ることが出来るのです。

(2)反対売買:買い方は期日前にオプションを市場で売ることが出来ます。
その点では通常の株式取引のようにオプション価格の売却代金を手に入れるこ
とになり、効果的にポジションを解消することが出来るのです。

(3)権利放棄:「コールオプション」の買い方は日経平均が満期日まで上
昇せず、市場で転売することが出来ず、SQ値も行使価格を下回っていたよう
な場合は権利を放棄する、つまり、なにもせずにそのままでいると、買う権利
は消滅し、何も無い状態となります。「プットオプション」の場合も同様で満
期日までに日経平均が下落せず、市場で転売することが出来ず、SQ値も行使
価格を上回っていたような場合は権利を放棄する、つまり、何もしないことに
よって売る権利は消滅し、ポジションは何もないことになるのです。

実際には、「コールオプション」の買い方は満期まで保有していた場合、S
Q値が行使価格を超えているときに自動的に権利が行使され、行使価格で買っ
てSQ値で売ったものと計算された差額を手に入れることになり、SQ値を下
回ったときには「権利を放棄」することで決済が終了します。「プットオプシ
ョンの買い方は満期まで保有していた場合、SQ値が行使価格を下回っている
ときに自動的に権利が行使され、行使価格で売ってSQ値で買い戻したものと
して計算され、その差額を手にすることになります。

◇売り方(ショートポジション)◇

(1)反対売買:期日前にオプションを市場で買い戻すことが出来ます。そ
の点では通常の信用取引のように買戻した価格と売った価格の差額が利益とい
うことになります。

(2)権利放棄:売り方は権利を行使することが出来ず、満期までに反対売
買をするか買い方に権利を行使されるかされないかを待つことしか出来ません。
「権利放棄」に違いはないのですが、「権利を放棄する」というよりは「権利
を行使されるかされないかを待つ」ということになるわけです。

権利を行使されなければ、最初に売ったときにオプション料(プレムアム)
を得ただけで、なんら変化はないのですが、権利を行使されれば「コールオプ
ション」であれば行使価格で買い方に売り、現値(SQ値)で買い戻すことに
なり、「プットオプション」の売り方であれば、その行使価格で買い方から買
い、SQ値で売ることになるのです。権利行使が「コールオプション」の場合
は行使価格を上回ったとき、「プットオプション」の場合は下回ったときに権
利が行使されるので、権利行使の場合は売り方は損をすることになります。