オプション通信5-12

第17回 -閑話休題

今週は具体的なオプション戦略について述べようと思いましたが、オプショ
ンというものが今ひとつ分かり難い、という声も多く聞かれました。また、毎
テレビ東京の朝の株式番組に出演していますが、その中で「教えて清水さ~
ん!」と言うコーナーがあります。本日のそのコーナーで「オプション取引
は?」ということを取り上げましたので、そのことについて説明して見たいと
思います。

オプション取引」というと非常に難しいように思われますが、一度その仕
組みを覚えてしまうと複雑な計算をしなくても仕組み自体は理解でき、実際に
取引することも出来るのです。細かい計算をして「いくらなら買える」「いく
らなら売りだ」などということをしなくても、「こういうときはプットを買っ
ておけばいい」とか「コールの売りはこういうときに使えるなぁ」などと考え
られればそれなりに投資の効果が得られるのです。

オプション取引とは(1)「あるものを」、(2)「ある期日までに」、
(3)「ある値段で」、(4)「売る、又は買う権利を」、(5)「ある値段
で」、(6)「売買すること」なのです。こうして話してみるとこのひとつひ
とつを「何か」と理解すれば、オプション取引を理解したことになるのです。

(1)「あるもの」とはここでは「日経平均」を指します。「日経平均」を
売買するのではなく「日経平均を買う権利や売る権利」を売買するのですが、
ここでの「あるもの」は「日経平均」になるのです。

(2)「ある期日までに」というのは通常は満期日=清算とされるのですが、
日経平均などのオプションに関しては「SQ」と呼ばれる清算値で清算されま
す。

(3)「ある値段で」、これが「行使価格」と呼ばれるもので、日経平均
「いくらで」売る権利なのか、「いくら」で買う権利なのか、を定めておくも
のです。

(4)「売る権利」を「プットオプション」と言い、「買う権利」を「コー
ルオプション」と言います。これまで実際の損益線などを見て来たように、
プットオプション」は日経平均が下がれば下がるほど高くなり、逆に日経平
均が上がれば上がるほど値段が安くなるのです(最後にはゼロになってしまう
ケースもあります)。「コールオプション」は日経平均が上がれば上がるほど
値段は高くなり、日経平均が下がれば下がるほどオプションの値段は安くなる
のです。(これも最後はゼロになってしまうケースもあります。)

(5)「ある値段で」というのはオプションの値段です。先週述べたように
オプションの値段はさまざまな要因に左右され、複雑な動きをしますが、「本
質的価値」というのは「行使価格」との関係で決まっており、「時間的価値」
の計算が複雑になってくるのです。

(6)「売買する」、つまり、「コールオプション」も「プットオプション
も売る人がいて買う人がいないと売買が成立しません。つまり、常に買い方
と売り方は同じ売買単位だけ存在するということになります。そしてオプショ
ンの場合は買い方が「権利」を所有しており、権利を行使するかどうかは買い
方が決めることになります。(実際には日経平均のオプションなどの場合は自
動決済となり、「本質的価値」がある場合は権利を行使し、ない場合はしない
というようになっています)「コールオプション」「プットオプション」共に
売り買いが存在するので「コールの売り」「コールの買い」「プットの売り」
「プットの買い」と同じ満期、同じ行使価格でも4種類の戦略、ポジションが
取られることになるのです。

そうですね、あまり難しく考えすぎないでオプション、の動きを見てみるの
もいいのかもしれません。