オプション通信5-14 2010/ 8/18 10:07

第19回 -具体的な例・その2-

オプション取引について簡単にするために薄型テレビを「買う権利」の話を
してきました。今週はその「買う権利」の売り買いが成立したのは良いが、そ
の値段が下がった場合はどうなるのかを見て行きましょう。

ここで、くどいようですがオプション取引とは何かということを見ておきま
しょう。オプション取引は「あるものを」「ある時期までに」「ある値段で」
「売るまたは買う権利を」「売買すること」ということでした。これはつまり
目に見えるもの見えないもの、値段さえあれば何でもオプション取引が行なえ
ることでした。

薄型テレビの例で言うと、テレビが、今、45万円で売買されているとします。
そしてある人Aさんがこのテレビを年末までに45万円で買う権利を5万円出し
て買ったとします。権利を買う、ということはその売り手がいないといけない
ので、Aさんの買いに対しBさんが売ったとしましょう。Bさんは別にテレビ
が余っているわけでも持っているわけでもなく、ただ、「この先テレビは上が
らないだろう」と思っているために「5万円もらえるのなら」ということでA
さんの申し出を受けたわけです。つまりAさんはBさんに「5万円上げるから
年末までにテレビを45万円で売ってください」と申し入れ、それをBさんがO
Kした、ということなのです。そこでAさんはBさんに5万円を支払い、年末
までに薄型テレビを45万円という値段で手に入れる「権利」を手に入れたので
す。一方でBさんは元手をまったくかけずに5万円が手に入ったのです。

そしてその後テレビの値段が上がった例を先週述べたわけですが、今度は値
段が下がってしまった場合です。Aさんは手に入れた「45万円でテレビを購入
できる権利」を「放棄」することにしたのです。市場で30万円で売っているテ
レビを何も権利を行使して45万円で買う必要はないからです。Bさんに対して
45万円で買う権利を持っているわけですからその権利を行使しなくてもBさん
は文句も言えず、Bさんに払った5万円をあきらめればいいということなので
す。つまり、5万円を捨てる(放棄する)代わりに45万円で買ってしまうとこ
ろだったものを市場で30万円で買えることになるのです。

一方、Bさんは市場で30万円で売買されているテレビをAさんに45万円で売
りそこなった感じですが、実際には何も元手がなくても(テレビを持っていな
くても「45万円で売ってあげるよ」といっただけで)Aさんから5万円をもら
うことが出来たのです。つまり、Aさんにとっては「薄型テレビを買う権利」
を買うことが保険に入るようなもので、Bさんはちょうど保険会社のようなも
のだということです。

今週の金曜日には先物やオプションのSQ(特別清算指数)の算出が行なわ
れます。上記の例で「年末にテレビがいくらしているか」を決めるようなもの
で、SQ値が先物やオプションの決済値段となるのです。16,000円のプットオ
プションもコールオプションも16,500円のプットオプションもコールオプショ
ンも薄型テレビはではないですが、いろいろな思惑でAさんやBさんに売り買
いされているのです。その中で悲喜こもごもいろいろなドラマもあるのではな
いかと思います。