60年前の地震前兆現象法則集

滋賀県のヒラマロ氏編集による60年前の地震前兆現象法則集のコピー

(『地震予知集』、地震の部  原本は、新書版の大きさで、基本的に二段組み。下段は、諺や言い伝えなどを文頭に○を付した箇条書きで記しており、目次によればこれが本文です。上段は、研究書からの抜粋、予知に関する解説などを記しています。また、別に附録と称する読み物(?)の部分があります。
地震の部の上段目次は、「震災予知談の数々」「動物の地震予知」「地前地気上昇す」「地震と鯰の話」「名立崩れ」とあり、同じく地震の部の附録目次は、「地震と兵乱(其一)」「地震と兵乱(其二)」「旗本の門番安政の大地震を予知す」となっています。 とりあえず、下段(本文)のみ、紹介していきます。
地震の部
1,夜間或は白昼、神仏又は群集が頻りに避難するが如き「かげらふ」空中に見ゆる時は大地震、又は大海嘯あり。*註記。この「かげらふ」は、昆虫の「蜻蛉」のことで「陽炎」ではありません。本書の序文に「往年松前の海嘯の時、毎夜光る物の虚空を飛行せるを見、後には白昼も神仏に似た無数のかげろふ及び、避難民の避難せるが如きのかげろふの盛んに虚空を飛行せるを見たるに拘らず…」とあって、「かげら(ろ)ふ」は飛行するものとしています。なお、神仏のような蜻蛉、という意味は、私にはわかりません。
2,夜間遠くより眺めて赤色一面に擴がり、平生暗き地方が大火事の如くに見ゆる時は其地方に近く大地震、又は大海嘯(おおつなみ)の起る前兆なり。
3,平生と異り地熱甚しき事あらば、火山爆発の前兆なり。
4,井戸水が急に減ずれば地震来る。 總て井戸水俄に涸れ又は俄に増し、又は濁る等の場合は、其地方に地震、海嘯、噴火、洪水等のうち、何れかの異変が必ずある前兆なれば特に注意を要す。
5,泉の水俄に減るは地震の兆。
6,地下水が急に下りたる時は地震あり。
7,大地震のある前には小動物の類が皆其棲所より逃出す。
8,旭日黄色く、月の色赤く、星の光冴ゆる時は地震あり。」
9,地震の前兆(福島県飯坂温泉、飯坂直太郎氏の体験)
(一)神前、仏前に供えてある蝋燭が弓なりに曲り、又は砕ける。 (二)雉が三声続けて二度叫ぶ。 (三)音も響きもないのに不意に丹田に微動を感ずる。 (四)天空に飛び交ひ舞ひ遊ぶ鳥類の姿が見えなくなる。 (五)堀井戸の水が異様に濁る。 (六)堀井戸の水が水位を高め又は減退する。 (七)気圧が弱くなり耳が鳴る。 (八)常に見らるゝ海、河、湖辺の魚類が見へなくなる。 (九)神前、仏前等に朝夕焚く香の煙の色も香りも著しく悪くなる。 (十)ヒステリツクの婦人が度外づれて狂暴態を発作し、又は頭痛を訴へる。
10,大地震の前には、磁石や石に付着せる鉄片の類が皆離落す。」
11,鶏が時ならぬに鳴き立てる時は地震あり。
12,虹低く見ゆる年は地震あり。
13,雉が鳴き騒ぐ時は地震あり。
14,曇天に雉鳴き騒げば地震あり。
15,地震の直後、雉が鳴かざる時は再び大地震来る。
16,雉が巣を移す時は地震あり。
17,雉の夜鳴きは地震の兆。
18,鯉が一度に水面上にとび上る時は地震の前兆。
19,夏、時ならぬに冷が来ると地震があり、冬暖か過ぎると又地震がある。
20,狸鳴き騒ぐ時は地震あり。
21,鶏が餌を止めて小首をかしげ、考へ込む時は地震がある。
22,株虹(短い棒状の虹)は地震の兆。
23,穴の中に棲む動物が皆外へ出る時は強震あり。
24,地中の虫類多く外に出る時は地震あり。
25,海水の色紅くなる時は大地震あり。
26,地下水(又は井戸水)が濁る時は地震あり。
27,地震の前には鼠が居なくなる。
28,関東大震災(大正十二年九月一日)の年には三、四月の頃より毎日毎夜近くで大砲を打つが如き音響聞え、鎌倉方面、片瀬、藤沢地方では日々数回、戸障子、ガラス戸等が破れんばかりの震動を受け、又大島の噴煙は火柱となつて、夜中殊に美しく、海岸の住民は度々之を目撃した。(神奈川県片瀬町役場より)
29,地震のある前には魚類が多く浮上る。
30,黒・黄・藍三色の虹が出現せば地震の前兆。
31,井戸水が俄に増して温くなる時は地震あり。
32,風物死せるが如く、山の形状いびつに見ゆる時は地震あり。
33,空を吹いてゐた風が、急に地から上へ巻き上げるやうな風向きになつた時は間もなく地震がある。
34,雨天続き又は旱天続きにて、片照り片降りの末、非常に蒸暑く感ずる時は地震あり。
35,気候蒸暑く天気長く続き、空黄色を帯ぶる時は大地震あり。
36,天候静かで悪ほでりが続く時は地震あり。
37,地震の前には大漁あり。
38,無風状態続き、どんよりと曇つて蒸暑き時は地震来る。
39,何となく空気重く、木葉動かず、異様に息詰まるやうな圧迫感を覚ゆる時は地震あり。
40,午後九時に赤く雲の焼けたる時は地震あり。」
41,地震の前には砂浜の形状に異変を生ず。
42,旱天が続けば地震あり。
43,雉の鳴声を伴ふ地震は不安なし。(宮城県本吉郡地方)
44,赤トンボ群れ出づるは地震の兆。
45,鯰が多く獲れる時は地震あり。(此外、鯰が多く跳ね廻る時、又は浮き上がる時は地震あり。との投書も多し)
46,玉蜀黍の根が強く張る年は地震あり。
47,世事に急変ある前には大地震あり。
48,百足が所々に死体を見せる時は地震あり。
49,蛇、籔に集る時は地震あり。
50,地震予知の八現象(姫路市、石田正義氏の体験) (一)雨又は曇が無風状態にて十日以上も続く時。(二)同じ空模様が三十日以上も続き、夕立景色を現出する時。(三)一週間以上も井戸水が濁り清澄にならざる時。(四)潮の干満が五尺以上あつて連続一週間に及ぶ時。(五)海水の温度が普通温度よりも四度以上高くなつた時。(六)地下五間半の温度が普通温度よりも四度以上高くなった時。(七)同じ方面が一週間以上も鳴動又は海鳴りを生ずる時。(八)附近の常盤樹の新芽が萎縮し又は枯れる時。」
51,やすで虫が沢山落る時は地震あり。(神奈川県三崎地方)
52,水に浸せる餅米が黄色に変色するは地震の兆。
53,鯰のひげに水泡生ずる時は地震近し。
54,近海に魚群の俄に減少するは地震の兆。(千葉県房州地方)
55,節分に雷が鳴ると地震がある。
56,地震の後、烏の宿る森にて烏啼かざる時は続いて強震あり。
57,降雪烈しき時は地震あり。(長崎地方)
58,烏が早口にて鳴く時は地震あり。
59,穴に住む魚類が多く河中に出づる時は地震あり。
60,鱗雲は地震の兆。
61,雉又は山鳥が人家近くで鳴く時は地震あり。
62,水盤中に飼育中のモロコ(小魚)が盤内にて異様にあばれ、盤の中央に集合した翌日、昭和十一年初春の大阪地方の大地震が襲来した。(大阪市、山本医師より、友人の報告なりとて投書あり)」
63,寒中に蚯蚓が多く出る年は地震あり。
64,蒸暑き日に鳴動(空中、海、山等にて)を聞けば地震がある。
65,地震のある前は気候に変調を来し、蒸暑く、空に異様な霞棚引き、太陽や月の色が赤く見え、地鳴りを伴ふ。
66,地震の前には餅米変色す。
67,地震のある前は無風にて蒸暑く、特に西焼けが甚だしい。
68,山の手に震災(震害)少し。(東京地方) (安政の大地震の時も、大正十二年関東大震災の時も山の手は震害が極めて少かつた)
69,行く雲も止み、吹きし風も止まり、四辺ぼんやりとなつて地音のする時は地震の前兆。
70,時ならぬに蛇が出ると地震がある。
71,時外れの大汐引は大地震の兆。
72,活火山の煙が少くなると地震がある。
73,太陽の黒点多き時期には地震多し。
74,大地震の来る前には地熱高まり、樹木の花返り咲きするもの多く、野菜類概ね上作なり。
75,海底大異変(地震又は噴火)の際には、海魚河川に遡り、鰤、鰹等の大魚が浅き所に来る。
76,海底大異変(地震又は噴火)の際には、貝類の死滅多く、之に反して海草類は繁茂す。
77,猫、頻りに戸外に出たがる時には地震来ることあり。」